スリザリン奮闘記《秘密の部屋2》 (ページ17)

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第67話　愛ページ17

「これといって特別な魔力を持たない赤ん坊がどうやって、偉大なる魔法使いを破ることができたんだ！なぜその傷だけで逃れることができたんだ？ヴォルデモートの力は打ち砕かれたのに！」
　あ、確かにそれはそうだね。ボクも気になるなぁ。
「そしてA、君は同じ継承者であってね。それに、知り合いの孫だ」
　ま、孫…..きっとエイブリーさんだよ。

「どういうこと？ヴォルデモートは君より後の人だろ？」
「ヴォルデモートは僕の過去であり、現在であり、未来なのだ」

　そういうとハリーの杖で空中に文字を書き、
　TOM MARVOLO RIDDLE

　杖を一振りすると、名前の文字が並び方を変えた。
　I AM VOLDEMORT

　そしてトム・リドルはセオドールに向きを変える。
「Aを抱えてる君、スリザリンの純血主義者だろう」
「そうだと言ったら？」
　セオドールの腕の震えがボクにも伝わってきた。セオドール、もしかしてあの人側に行っちゃうのかな……。

「君もこちら側に来ないかい？」
　トム・リドルが手を差し出してきた。それも両手。
「なぜ両手？」
「Aの分さ」
　なんだ、まだ諦めてなかったのか。

「A、君の記憶を見ただろう」
　その言葉はボクに深く刺さった。

『ボクのせい』

　全部、ボクのせい。

　愛されてなんかいなかったんだ。

「僕もそうだった。僕なら君を大事にできる」

　トム・リドルが近づく。セオドールはボクを抱えて後ろに下がる。
「だって、君が愛しいから」
　ああ、あの時の甘い声だ。気持ち悪い。

「嘘をつくな」

　セオドールがそう言ったのはすぐだった。

「嘘をつくな」

「セオドール……」
　セオドールはサッとボクを下ろして杖を向けた。
「さっきの答え、今はこう思っている。そんなことより、俺はAとブレーズと、それとハテナのやろうと学校生活をしたい。それも、とびきりおもしろおかしいものをな」
　セオドール、ボクらのことそんな風に思っててくれたんだ！ボクも、三人が大事だ！

「ありがとうセオドール」

　ボクはトム・リドルに拳を向けた。
「ボク、別にお父さんから愛なんてなくても良いよ」
　ハリーは愛されたおかげの力があるけど、セオドールとブレーズには片親だけど愛情深い親がいるけど、ボクは今まで通りでいい。

「ボクはトム、君と違って友達が多いんだ！友情ほど美しいものはない！」

　ボクには、それだけあれば十分なんだ。