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マルとは、小さい頃からの馴染みだ。

家が近くて、よく遊んでいた。

俺は人見知り激しくて周りと仲良くするのが苦手だったけれど、コイツはそんな俺に声をかけてくれた。

それがきっかけで、だいぶ人と話せる様になった。

マルがおらんかったら今頃引きこもってたんやないかなっていうくらい、俺の人生を変えてくれた。


そいつが今、俺の人生を変えようとしている。



「アンタにはまだ死なれちゃ困るって事だよ!」


マルが男らしくないやり方だけど、プールに降りてくる。


「おまっ…!汚れんで!」


「すばるくんも汚いからどっこいどっこいやろ?」


コイツこんな時まで…

マルは俺の近くまで来ると、俺の腕を取った。


「ほら、はよ上がらんとシャワー室閉められてまうで。」


「っ…!」


別ええし、と反論しようとしたが俺の返事を聞く前にさっさと水中から俺を引きずり出すマル。

そのまま何も言わずにシャワー室の方へ連れていかれる。

蛇口を捻ると冷たい水を頭から被った。

二人でひとつのシャワーだから、正直かかってないところもあるけれど、

綺麗な水が心地よかった。


「あー、タオル持ってくんの忘れたわ。」


唐突に呟かれたそのひとことで俺は思わず、


「はぁっ!?じゃあこれからどーするん!?」


「いやーどっかその辺に…」


その様子が可笑しくてつい吹き出した。


冷たい水を浴びながら笑う俺に、マルの手が伸び、頬をつまんだ。


「いひゃっいふぇ。」


そいつはそう、まさしく微笑みを浮かべてこういった。


「ほら、笑えとるやん。」


「?」


「すばるくんは、笑ってる顔の方が似合うで。」


こいつはいつでもそうだ。

そうやって言葉をかけるから、離れられなくなっていく。


「…そーゆーのは、そーゆー人に言うた方がええで。」


俺は視線を逸らした。


「すばるくん、こっち向いて。」


無理矢理視線を合わそうと両手を顔に当てて、自分の方に向かそうとするマルに負けて、大人しく視線を合わせる。


なんというか、髪の毛が濡れていて、色っぽかった。

水も滴るなんとやら、って。

ほんと、顔ええよなぁ。


なにか言いたそうなマルだけど、そろそろ寒くなりそうだと思った俺はシャワーの蛇口に手を伸ばした。


そんな俺の手の上に自分の手を重ねて、水を止めるのを阻止したそいつは、俺の驚きもそこそこに唇を重ねた。


「…!」

*→←1.水中でキス



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作者名:Haru | 作成日時:2018年5月19日 15時

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