道徳からの乖離…其ノ参 ページ13
※オリキャラ:志賀刑事
→箕浦の同期だけど若く見える。上条に餌付け中。
「――箕浦頼むっ!お前暇だろ!?ちょっくら頼まれちゃくれないか!」
「まあ構わんが…」
そう泣きつかれたのは今朝早く。徹夜で事件解決に勤しんでいたはずの同僚_志賀は、只事ではない様子だった。
それ故、何も考えず承諾してしまった自分が、今となっては憎らしい。
「おっしゃ、とりあえず上条って奴が来たら玄関に迎えに行ってくれ!向こうが解ってるから、お前はただ着いていくだけでいい」
上条という名の男。何度か見かけたことはあった。
亜麻色の髪に緑の瞳が印象的な無表情野郎、というのが第一印象。彼が訪れる日の志賀は、気持ち悪いほど機嫌がいいのも覚えている。
「それだけでいいのか?」
「んー…あ!終わったらアイスをあげることも頼むわ。んじゃっ!」
受付から其奴の来訪を聞いたのは、生真面目に購入しておいたアイスを他の刑事に問い詰められた後で、ヤバいと思いながら急いで向かった。
今まで気づかなかったが、真正面に立たれるとこんな奴だったのか、と思わず我が目を疑った。この世の者とは思えぬほど、彼は美しかったのだ。
けれど大人しそうな彼は、意外にも不器用そうで敬語すら上手く使えていない。
そんな不思議男が志賀を連れて何をしているのか、箕浦は興味を持った。
箕浦を連れた上条は地下に降り、複雑な道を迷わずに進んでいく。箕浦の記憶では、このまま行くと死体安置の区域になるのだが――、
『…着いた』
「此処、なのか?」
着いたのはやはり、安置室だった。
この部屋の遺体は殆どが身元不明で、それが幾つも並べてあるような場所。
「ここで何をやるんだ?」
『んー、敢えて言うなら死体処理…です』
「は?」
“敢えて言うなら”ってどういう事だ。
それに死体処理をするなら、何かしらの道具等が必要なはずだが、彼は手ぶら。何処かに死体を運び出す、という訳でも無さそうである。
『えっと、箕浦…さんは待ってる?それとも、……中で見る?』
志賀さんはいつも待ってたけど、と付け加える上条。
その目はどこか妖しく光っていて、興味本位で簡単に踏み入るべきではない、と自分の中で警報が鳴っていた。
「…いや、止めておこう」
『そう。そんなに時間はかからないんで』
少し安心したような表情の上条はそう言い残し、ゆっくりと部屋へ入る。
それを見送った箕浦は一人、何をする訳でもなく黙って薄暗い天井を見上げていた。
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桐宮 - こういう主人公大好きだねぇ。可愛い…。 (2017年1月4日 20時) (レス) id: a7d473c89c (このIDを非表示/違反報告)
朔夜(プロフ) - ( ゚д゚)ハッ! ご指摘ありがとうございます。頑張りますね (2016年11月28日 18時) (レス) id: f3c5c75437 (このIDを非表示/違反報告)
お人形 - 羅生門ですよ。 面白いです。更新頑張ってください。 (2016年11月28日 18時) (レス) id: 880e38e28c (このIDを非表示/違反報告)
朔夜(プロフ) - 夏柴さん» 感想ありがとうございます!ご指摘の点は、後で公開する異能力の情報で納得していただけるかと…。これからも楽しんで頂けたら嬉しいです (2016年11月27日 18時) (レス) id: f3c5c75437 (このIDを非表示/違反報告)
夏柴(プロフ) - 面白いです!…………余計かもしれませんが脳細胞は再生できなくてしても記憶が無くなってるそうです。すいません…………変なこと書いて (2016年11月27日 17時) (レス) id: f84fce7cc0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朔夜 | 作成日時:2016年11月19日 19時