この恋を知るまでは（SK）

24 side SK ページ24

昼休み、激混みの学食でラーメンの列並んでたら、後ろから声を掛けられた。
エマちゃん。


「わあ！加藤さん！お久しぶりです！あけましておめでとうございますー！」

ってニコニコ。
そういえば、メッセージ読んで返事しなかったな、って気づく。

「あけましておめでとう。わり、既読スルー」
「いえいえ！既読ついて嬉しかった！届いてたら、もうそれだけでいいんです。嬉しかったです」


ニコニコしながらそう言って俺の後ろに並ぶ。


「冬休みはご実家でしたか？」
「ああ、そうね。うん」
「私もですー！私クリスマス前からずーっと実家に家族と一緒にいて！最後ちょっと虚しくなりました！」


アハハ、ってエマちゃんが笑う。
どうでもいい話をしながら、しばらく並んでカウンターまでチマチマ進む。
カウンターの直前で、エマちゃんが「あ！」って大きな声。

「間違えちゃった！私お蕎麦にしたんだった！列お隣だった！」


って目をぱっちり見開いたあと、笑いながら食券を見せてくる。
ニコニコしながら、俺の腕にすっと触れて、「やだー！つい加藤さんの後ろついてっちゃった！じゃあまた！」って列を離れていった。



エマちゃんからの好意は感じてた。
ちょっとうっとおしかったりもした。

でも今一瞬可愛いなって思ったのは、たぶん気のせいじゃない。


エマちゃんは、俺だ。

叶うかわからない想いをなんとなく隠しながらも、捨てられずに、Aの隣を死守してきた俺だ。
俺は叶わなかったけど。

エマちゃんは？


さっき触れられた腕のあたりがなんだかチクチク痛んだような気がした。

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