1日目 ページ3
「あ、キバナさん。申し訳ないんですけど、私ちょっとブティックに用事があるので10分だけ待っててください」
トレーニングのあとはそらをとぶタクシーで適当な街に出かけるのが日課となっている。行く場所は特に決まっておらずカフェがある街ならそこに、キルクスタウンなら温泉のそばでトレーニングの反省会。アラベスクタウンならルミナスメイズの森でお散歩等々、互いに楽しみにしていることでもある。
今回はキルクスタウンに来たがなにやらAはブティックに用があるらしくキバナは噴水の前で彼女を待つことにした。
「さっみぃ…」
この街はほぼ毎日雪が積もっているため他の町と比べてかなり寒い。そのため厚着はしてきたものの外気に触れる頬が寒さで痛むほどだ。
あまり来ないから、と自撮りをしてそれを投稿していると慌てたように駆けてくる足音が聞こえた。
「なんだ、はやかっ……お？」
5分程しかしていないがもう用事が終わったのかと声をかけながらキバナが顔を上げると見知らぬ少女が息を切らせて立っていた。
「あ、あのっ、キバナさん！私、キバナさんのファンで…ファンというか、その、好きなんです！もちろんトレーナーとしてかっこいいと思いますけど、…すき、で…」
「…ありがとうな、気持ちは嬉しいぜ。けど応えてやれねぇんだ。ごめんな」
「で、でも、せめて…チャンスをください！し、知り合いからでいいんです。お願いします…」
「うーん…」
少女はぎゅぅとスカートの裾を握りながら懸命に想いを伝えてきた。時たまあることで、丁重に断ることにしているのでいつもの通りに返す。が、少女は引き下がらず泣きそうな顔で頭を下げている。どうやって納得してもらおうかと頭をかいていると紙袋をひとつ片手に提げて歩いてくるAがキバナの目に映った。その方向を向くと、少女もそれに気がついたのか後ろを振り向き、小さく声を漏らす。
「…あ……」
『キバナさーん、お待たせしました。』
「おかえり。なんか買ったのか？」
『ボアのコートとショートブーツ欲しくって…』
当たり前のように隣に立ち話し始めるキバナとAにショックを受けたように少女は呆然と2人を見つめている。Aがふと顔を上げ、少女に微笑みかけた。
『…あの、もしかしてキバナさんに何かご用事ありました？』
「……いえ。」
悪いことしちゃったなと悪びれなさげに呟くAに、キバナは案外腹黒いなと思いながらAの手にある紙袋を手に取った。
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pandora(プロフ) - レインさん» コメント応援共にありがとうございます！ちょっと私の趣味でちまちま入れます…へへ…… (2019年12月26日 1時) (
レス) id: ee0d8bcccc (このIDを非表示/違反報告)
レイン - ものすごいキュンキャンしました！ ときどきエッrrrrロい場面があって余計、なんか、こう、なりました！ ←語彙力は旅に出掛けました。作者様が書くキバナさんが大好きです！ おもしろいです！！がんばってください！ (2019年12月25日 23時) (レス) id: 05e6c43b69 (このIDを非表示/違反報告)
pandora(プロフ) - らいさん» コメントありがとうございます！全年齢向けなので難しいですが…この作品が完結したあとに作るかもしれないやつが……あるかも…しれませんよ…？ (2019年12月7日 10時) (レス) id: ee0d8bcccc (このIDを非表示/違反報告)
らい - 合鍵！！？？これはもう続きがたのしみです！！ないけど、多分ないけど襲う雰囲気がほしい´∀` (2019年12月7日 0時) (レス) id: 5bd8ec40a6 (このIDを非表示/違反報告)
pandora(プロフ) - てあさん» コメントありがとうございます！お言葉とても嬉しいです、最近は更新がかなり、かなり遅れていますがもっと好いていただけるよう努力します！ (2019年12月6日 11時) (レス) id: ee0d8bcccc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Pandora | 作成日時：2019年11月18日 23時
