7日目 ページ19
『アイスボックスクッキーってなんでアイスボックスって着いてるんだろ…』
ゴムベラで生地を練りながらぽつりと呟いた。目の前にあるのは、緑の生地。まだ少し粉っぽさが残っているからもう暫く練り続けなければならない。
現在作っているのは、市松模様のアイスボックスクッキー。今日は休日で、せっかくだしとこの前買ったお菓子作りの本に書いてあったものを横目で見ながらひたすらに生地を練っていた。隣には混ぜ終わったバニラ生地が佇んでいる。
『出来たらみんなで食べよ。美味しくなかったらごめんねだけど』
「ぴるぅ」
「ぎゅおん」
初めて作るようなものだ、練習して練習して、満足できるものになったらあの人に。なんて、食べてくれるかどうか分からないのにそんなことを考える。私、こんなアプローチかけちゃう性格だったっけ。前は…いや、大して変わってないな。関節キス狙ってたもん。
『ね、キバナさんクッキー好きかな』
「ん？好きだぜ」
『………』
聞きなれたけど、ここでは絶対聞こえない声。一瞬頭が真っ白になって生地を混ぜていた手が止まる。
「ベル鳴らしても出なかったから勝手に入った、すまない」
『……あ、えっと、はい。大丈夫ですけど…』
「それクッキー？緑色」
『…抹茶です。あの、これ、』
「俺のために作ってくれてるのか？」
にぃ、と向かいで目を細める彼にやっぱり嘘は付けなかった。
『……う、上手く出来たらです』
「楽しみ」
嬉しそうにはにかんだ彼を見てカッと耳まで熱くなる。聞かれてたし、なんか食べさせる流れになってるし、しかも楽しみにしてくださってるし、待ってよ。処理が追いつかないよ。
『……………恥ずかしい…』
「フフッ、完全に独り言だったもんな？」
『うー…』
唸りながら練っていると、ようやく粉っぽさがなくなってきた。バニラの生地と並べて形作ると冷蔵庫にそれを入れる。
30分に設定したタイマーのボタンを押して、後ろで待つ彼に振り返った。
『で、来たってことはなにか御用ですか？』
「あーそうだ、忘れそうだった。再来週ワイルドエリア巡回予定だったろ。あの時間帯の番組に出演して欲しいんだと。嫌なら断ってそのまま巡回になるけどどーする？」
『キバナさんが決めてくださって構いませんよ。ちなみに内容は？』
「あれだ、【ドラゴンストーム、キバナに恋人が？お相手は妖精のワイルドブレイカー！】ってやつ。」
『私その名前好きじゃないんですけど！！』
「そこ？」
(続く)
続く (更新停止中)
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pandora(プロフ) - レインさん» コメント応援共にありがとうございます！ちょっと私の趣味でちまちま入れます…へへ…… (2019年12月26日 1時) (
レス) id: ee0d8bcccc (このIDを非表示/違反報告)
レイン - ものすごいキュンキャンしました！ ときどきエッrrrrロい場面があって余計、なんか、こう、なりました！ ←語彙力は旅に出掛けました。作者様が書くキバナさんが大好きです！ おもしろいです！！がんばってください！ (2019年12月25日 23時) (レス) id: 05e6c43b69 (このIDを非表示/違反報告)
pandora(プロフ) - らいさん» コメントありがとうございます！全年齢向けなので難しいですが…この作品が完結したあとに作るかもしれないやつが……あるかも…しれませんよ…？ (2019年12月7日 10時) (レス) id: ee0d8bcccc (このIDを非表示/違反報告)
らい - 合鍵！！？？これはもう続きがたのしみです！！ないけど、多分ないけど襲う雰囲気がほしい´∀` (2019年12月7日 0時) (レス) id: 5bd8ec40a6 (このIDを非表示/違反報告)
pandora(プロフ) - てあさん» コメントありがとうございます！お言葉とても嬉しいです、最近は更新がかなり、かなり遅れていますがもっと好いていただけるよう努力します！ (2019年12月6日 11時) (レス) id: ee0d8bcccc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Pandora | 作成日時：2019年11月18日 23時
