楽しい楽しい一人の世界へ ページ5
「や〜っと一人の世界に〜向かえるよ〜、
この時を〜私は待ってた〜！」
パニックに陥り、あちらこちらからひっきりなしに聞こえる悲鳴をBGMに即興で作詞した歌を歌ってしまう私はいよいよ頭がおかしいのだろうか。かといってやめないが。
人の気配、ゾンビの気配が共にしない更衣室にて私は着替えながら私は熱唱していた。
もしも何か非常事態が起きた際に、学校の中で思う存分無双してやりたい。
そんな私の夢が今まさに叶おうとしているのだ。
そりゃあもう、テンションが上がらない訳がない。
この時の為に、私は少し前から戦闘用のコスプレ衣装を用意していたのだ。
安全かどうかはさておき、これで戦えば絶対カッコいいとシュミレーションすらしていた。
制服をバサバサと脱ぎ捨てて、少し露出度が高いコスチュームへ変身していく。
安全かどうかはまあ置いといて制服よりずっとカッコいいからな、うん。
その仕上げに最近護身用として持ち歩いていたエアガンを手にして準備完了。
と、ここまでしてやる事といえば。
恐らくもう校内にもゾンビは侵入しているはず。
一度学校の中に侵入したゾンビを倒し、ゾンビ避けに玄関やら至る所にバリケードを作る。
そこまでいけば、あとは校内にあるものを漁ってゾンビと交戦しても困らない様に備えて………
おお、まさにこの状況ゲームそのものだ。
こんな事を真面目に考えている私を客観的に見て余計に興奮してしまう。
ニヤける口元を左手で抑えながら、最低限の荷物だけを小さめの肩から下げるタイプの鞄に引っさげて更衣室から飛び出す。
と、そこにはゾンビがワラワラと____
いたりする事はなく。
「………ま、そりゃそうだわな。
ゾンビがこの階まで上がってくるまで時間掛かるわ。」
私は鼻で笑いながら構えていたエアガンを一度降ろした。
少しだけ、私をいないモノとして扱ってきた人間が無残な姿になって私に倒されに来る状況を期待してはいたが。
それならそれで上の階からこれから生きていく上で使えそうな物を回収してから下へと向かってみよう。
その頃にはゾンビ達ともしっかり対面出来るだろう。
相変わらず無駄に冷静な判断が出来てしまう私。
あれ、これ下手したらゾンビより私の方が怖いのでは？
「…クッフフ…ま、何度も何度もこんな状況はシュミレーションしてたし仕方ないかぁ。
て事でゾンビより怖いかもなAちゃん、今この時を持ってただの学生から主人公にランクアップいたしますぜ………！」
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作者名：Guilty | 作成日時：2019年5月28日 2時
