【ハイキュー】それでも、この世界で ―1― (ページ14)

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この分まで生きるからページ14

「ヴゥヴァアアアア…！」

「はいはいごめんな！君とランデブーしてる暇無いんだわ！
あと悪いけど残念ながら私の恋愛対象人間のみだから！」

「グォウゥッ！」

「んひゃぁっ！？涎垂らしながらこっちに寄るな折角の可愛いお顔台無しになってるぞ！？
いやゾンビ化して皮膚腐っちゃってるから可愛いもクソもないかもだけど！」

自分を落ち着かせる為に、少しばかり大声で騒ぎながら的確にゾンビ達の頭を狙って撃つ。
これでも私は長年ゲームの世界や現実世界で銃は扱ってきたんだ、射撃の腕はそこそこいい…はず。

まあとりあえずゾンビはバタバタと倒れていってくれてます。首尾は上々です。

因みにゲームの主人公みたいなカッコいい台詞とかは浮かばなかったから私の脳内から湧き出て来る人に見聞きされたら物凄く恥ずかしいテンションに身を任せて言葉を吐き出してみた。
でもよく考えたら後ろに常人二人もいた、忘れてたわ。

「オラオラオラオラオラオラぁ！
無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ぁ！」

これ普通の人が聞いたら私完全に頭イカれてる風に見えるんだろうなぁ、なんて思いつつもなかなかやめられない。
癖というかなんというか、もういいや諦めた。このまま突き進んでやる。

ゾンビ化してしまった人の分、せめて私が生きてやらないと。
じゃないと、殺した意味がなくなってしまう。

ふざけた態度を取りながらも、真面目にそう考えてエアガンを握り直す。

「っと、弾切れ…！なら今度はこっちのハンドガンで…！」

「………ゾンビの数が…大分減って…」

「減ってますよええ！
でも…ああクソ！弾の補充してる時間ない！やっぱ次薬品！喰らえッ！」

戦況が有利になってきた事である程度不安を拭い去れたのか、及川さんの可愛い悲鳴も震え声も、気付けばもう聞こえなくなっていた。

…正直、怯えて悲鳴を上げるヒロインを守る騎士になれた様な気がして少し嬉しかったのに、なんて思ってたのはここだけの話。

そんな気持ちを露知らず、二人もこの勢いに乗じてゾンビを一気に片付けようというやる気が出たらしく。
及川さんは私が先程まで使っていたエアガンに弾を補充して構え、岩泉さんはバリケードを少し崩してそこからさすまたをゾンビ達に向けた。

「手伝ってくれるなら岩泉さんはゾンビをさすまたで動き封じてください！
及川さんはその押さえたゾンビの頭狙ってぶち抜いてッ！」

咄嗟に思いついた戦術を彼らに伝え、再び戦闘に集中する。
校内制圧まで、あと少し。