１１ ページ12
さぁどうだかな〜なんて言いながら３人は私が来た方向へ歩いていった。背の高い３人に囲まれていたものだから、視界の開放感がすごい。フレッドが振り向いて、またホグワーツでな、と笑った。手を振る３人から作戦会議だと思われる会話が聞こえて来て、クスリと笑いが溢れた。
＊
パーバティーとパドマの双子と少しお喋りして、そろそろ戻ろうかな、と私はハリー達のいる方へ足を進めていた。端の車両までは行かなかったけれど、オルブライト兄弟は誰一人として見かけなかった。本気で乗り遅れたのかもしれない……。
窓の外の雨はますます激しくなっている。風邪で窓枠が音を立てているのは気のせいではない。段々と寒さも増していく。私は足を速めた。
ガラス越しにロンがスキャバーズを膝に乗せているのが見えた。ハリーが私に気づき、あっという顔をした後に笑顔を浮かべた。おかえり、と鈍い声が聞こえる。
ドアに手をかけ──そして視界が暗転した。
寒い。これはおかしい。
指先が悴んでいるのだ。
列車に乗る前に、私はある考えに思い至った。
ぞくりと背筋が震える。これは寒さか、それとも別の感情か。
急いでドアを開けて、ハーマイオニーとルーピン先生の間の席に座った。
知識では知っていること。吸魂鬼が近くに来た際、人間はまず冷気を感じる。そしてそれから、この世から全ての幸福がなくなったような、そんな、感覚を────
「あ、」
声が掠れているのがわかった。知識だけではわからないこと。怖い。とても怖い。もう二度と笑う事なんて出来ないんじゃないか、この瞬間で私の幸せが終わったのではないか、そんな根拠のない不安だけが心を侵食していく。
……これは吸魂鬼だ。間違いない。
ぎゅぅ、とハーマイオニーの手を握った。彼女の手も私の手も震えていて、指の先まで冷たくなっていた。
今、するべきことは一つ。
震える手で、それでも素早く懐から杖を引き抜いた。きっと大丈夫。何度も練習した。きっと。
ドアが開き、黒い影がコンパートメントに入って来た。長いコートで全身を覆い、袖口から腐肉のような黒い手が見えている。頭は頭巾で覆われている。その奥には恐怖が詰まっているだけだ。吸魂鬼に口付けられた者は魂を吸い取られ、空っぽになった者はやがて吸魂鬼そのものに成り果てるのだ。比喩でも何でもなく吸魂鬼そのものに。
──こわい。
杖を向けると無意識に呪文を紡ぐ唇。
「
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 40人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「ハリーポッター」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミア(プロフ) - ぱんださん» よかったです！！大好きな作品なのですごく安心しました、、これからも応援しています！！ (2019年3月12日 21時) (
レス) id: 8a7216d57f (このIDを非表示/違反報告)
ぱんだ(プロフ) - ミアさん» 消しませんよ！ 私も、好きな作品が消えてしまう度に悲しかったので……。そう言って頂きありがとうございます！！ 嬉しいです……！！ (2019年3月12日 16時) (レス) id: a4436e9ee1 (このIDを非表示/違反報告)
ミア(プロフ) - こちらの作品、消したりしてしまうでしょうか？できたら消さないでほしいです、、、 (2019年3月12日 0時) (レス) id: 8a7216d57f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ぱんだ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/panda513261/
作成日時：2017年8月6日 0時
