旧・黒髪とサファイア III (ページ27)

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ガーゴイル像の向こう、石の螺旋階段の上、輝く樫の扉を開けた先＿＿あたしたち３人は、マクゴナガル先生に校長室へと連れて来られた。

「待っていなさい。」

マクゴナガルナガル先生が出て行くと、沈黙がその場を支配した。部屋は美しく荘厳で、みんな必死になって外装を眺めていた。ハリーが何かに気づいて棚に近づいた。

「被ってみてもいいと思う？」

手の中には組み分け帽子。

「ダンブルドア先生がケチじゃなければ大丈夫。」

あたしの返事を聞き、ハリーは帽子を頭に乗せた。

「何か、思いつめているね？ハリー・ポッター。」

組み分けの時には他人に対する帽子の声が聞こえなかった。多分、今は距離が近いから。微かな声があたし達の耳にも届いていた。

「えぇ、そうです。あの＿＿お邪魔してごめんなさい＿＿お聞きしたいことがあって＿＿」

「私が君を組み分けした寮が間違いではないのか気にしているね。」

レイがハリーの隣に歩いて行った。

「さよう…君の組み分けは特に難しかった。しかし、私がこの前に言った言葉は今も変わらない＿＿」

ハリーの顔が喜びで明るくなった。

「＿＿君はスリザリンでうまくやれる可能性がある。」

しかしすぐさま喜びの色は消え、落胆が顔を出した。

「貴方は間違っている。」

ハリーは素早く帽子を脱いだ。レイもあたしも、ハリーをジッと見ていた。彼はその視線に気付き、慌てて帽子を元に戻した。言いたくない事らしい。

「…あ、あの鳥、なんだろう。」

話を逸らすようにハリーが机の奥を指差した。近寄ると、みすぼらしい小さな鳥が、不釣り合いな程大きな止まり木に止まっていた。可哀想なくらいヨボヨボだ。ゲッゲッと鳴く度に、羽が数本抜け落ちた。…けど綺麗な赤だ。あたしの好きな赤い色。

「それは＿＿」

長蝶クッキーの事で校長室によく来るレイは、何の鳥なのか知っていたんだろう。しかし、説明に耳を傾けようとした時、鳥が炎に包まれた。

「どうすれば…水は＿＿あっ、その、ダンブルドア先生。」

慌てて部屋を見渡すと、レイの隣にダンブルドア先生が立っていた。いつの間に。

「慌てずともよい。そろそろだったのじゃ。この頃惨めな様子だったのでな、早く済ませてしまうようにと、何度も言い聞かせておったんじゃ。」

ダンブルドアは微笑んでいた。あたしもハリーも開いた口が塞がらない。レイがクスリと笑った。

「フォークスは不死鳥じゃよ。死ぬ時が来ると燃え上がり、また灰の中から蘇るのじゃ。」