旧・黒髪とサファイア III (ページ15)

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「借りてきたわよ。」

片手にカビ臭そうな本を持ち、ハーマイオニーが図書館から出てきた。

「どうだった？」

ハリーが尋ねた。

「どうもこうもないぜ。マダム・ピンスの検査は通過したんだけど…ハーマイオニーが＂このサイン、私が持ってて良いですか？＂なんて言って。」

レイが面白そうに、小さな笑い声をあげた。

「彼って素晴らしいのよ！」

ハーマイオニーは断固として意思を変えないつもりらしい。
５分後、あたし達は＂故障中＂トイレの入り口に立っていた。つまり、＂嘆きのマートル＂のいるトイレに。ロンの異議を、ハーマイオニーが却下したからだ。

「まともな神経の人はここには来ないわ。だから、私達のプライバシーが保証されるでしょう？…レイ、外で待ってる？」

ハーマイオニーは心配そうに言った。(「僕の心配は無しってことか。」)

「大丈夫。聞きたいことがあるんだ。」

レイは明るくそう言った。

中に入ると人はおらず、マートルが個室の中で泣いているだけだった。

「話してくるね。」

レイがマートルの部屋に入っていった。

「この一番手前の個室に入りましょう。」

４人が同時に入ると、広い個室もかなりギュウギュウ詰めになっていた。
ハーマイオニーが＂最も強力な魔法薬を＂を大事そうに開き、４人が湿ってシミだらけのページを覗き込んだ。黒い文字が白い紙によく映え、不気味な程ハッキリ見えた。
本の挿絵はとてもグロテスクだったし、息を止めたまま命を永らえさせて苦しみを与える魔法薬とか、体の内側と外側をひっくり返す魔法薬とかが載ってあって、＂禁書＂という文字通り禁ずるべき本だと思った。

「あったわ。」

ハーマイオニーのページをめくる手が、324で止まった。

「すごく複雑だね。」

背後から急に声を掛けられて、あたし達は飛び上がった。

「なんだ、レイか。びっくりした。」

ハリーがホッと息を吐いた。

「話は終わった？」

「うん。」

気を取り直して、本に目を通したあたし達５人。ハーマイオニーが唸った。

「行程は何とかなるわ…問題は材料ね。二角獣(バイコーン)の角の粉末と毒ツルヘビの皮の千切り…何処で手に入れたらいいのかしら。」

「私、角の粉末持ってるよ、蝶長クッキーの材料で。蛇の皮も、スネイプ先生が持ってた。」

「材料は解決ね。」

「解決？どこがさ！スネイプが僕らに分けてくれるはずないだろ！」

「分けてもらうなんて言った？勿論、頂くのよ。」

ハーマイオニーはニヤリと笑った。