COMPLEX【瀬名泉】

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「Aちゃんっ！申し訳ないんだけどこの資料3年生の教室まで運んでもらっていいかな？
私は1年生の方配ってくるね！」


相変わらず忙しそうなあんずちゃんに頼まれごとをされた

それは大量のプリント達で、とてもあんずちゃん1人では無理そうなので手伝う事にした







「あー…もう。まじか」


日に日に無気力になっていく自分を自覚はしていたが、こんな事になるとは

そう、プリントをばらまいてしまったのだ



ボーッと歩いていたんだろう、階段の角にぶつかりプリント全て落としてしまった



「めんどくさ…」


拾う気力も無いがあんずちゃんに迷惑をかけられないのでのそのそと拾い始めた




「あんた、ほんと何やってんの？」

上から声が聞こえたので見上げると瀬名先輩がいた



「見ての通りですけど…」

説明する義理も無いし、見たままで分かるだろうと思ってそう言った




「あんた見てるとイライラするんだよねぇ」


突然何なのこの人…と思ったが仮にも先輩なのでぐっと飲み込む
階段の上から見下ろすように見てくる瀬名先輩に嫌悪を示しつつ返事をした



「それは申し訳ないです」


「あんたさ、やる気ないなら辞めれば？」





プリントを拾っていた手が止まった



嬉しいような、悲しいような
色んな感情が湧き上がった

いや、ここで嬉しい感情はおかしいのかもしれない



でも「楽になれるかも」と思ってしまった
嬉しかったんだ




「そうですね、考えます」



瀬名先輩、嫌味だったのかもしれないけど
少しだけ心を軽くしてくれてありがとう




そのままプリントをすべて拾い瀬名先輩に会釈をしてその場を去った






ーーーーーーーーーーーーーーーーーー




ほんとにイライラする

つい言ってしまった「辞めれば？」の一言に
あいつは泣くかと思ったら笑った



久しぶりに見た笑顔だった




考えます？何を？
辞めるの？学院を……



あいつが何がきっかけで、何が理由で
そうなったのかは分からない




でも、俺達はあいつをまだ
手放すつもりは無い





俺はもう、何も失いたくない






_________壊れる前に
________________守る





そう、誓ったから





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