殺し屋幹部【WT】 (ページ15)

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翌日の朝早くから俺は弓道場なるものに連れて行かれた。そこにはAが意気揚々と待っていて、おいでという様な手振りをするからAに近づくと弓を渡される。真正面を見るとそこには内側から赤、青、黄色となっている的があった。

一度、俺が放った矢はスパン、と綺麗な音を立て赤に当たった。弓は扱った事が無かったのだが、銃のようにコツを掴めば9割狙った所に当てられるのだろう。

「…お前初めて弓使うの？」

驚いたような表情をする彼女を見つめると腹の中から笑いが込み上げ、吹き出してしまった。段々とAは俺に近づき、俺が持っている弓の上から手を置く。

「10割型当てられるようにするならもっと強く引いて、Nakamuがやってるのは銃と同じ感じだからそれより少しだけ力抜いて。」

Aに支えられながらも打ってみると俺一人で打った時よりもスピードは上がり、軽く的に当たった。

「すっご……」

「だろ〜？これでも幹部だからね」

たわいない会話を続けながら1時間ほど弓道場に籠り弓を放ち続ける。数分前にAは用があるから、と言い立ち去っていった。ゲームの様に鳥が飛んできては打ち、処理をする。外すことが無くなってきたから少しつまらないが、今の俺にはこれぐらいしかやる事がないのでやり続ける。本当は仕事などもうあるのかもしれないがやらされていないのでそれは幹部に感謝した。

「なぁ、」

そう言いドアを少し開けて入ってきたのはスーツを着た男。幹部達と同じ様に胸のブローチから白と紫のグラデーションが施されたアクセサリーがぶら下がっていた。…だけどここまで来るのは余程のことがない限り幹部は来ないと聞いた。それであって来たなら、一般兵か上級兵だろう。

「もうここ、閉める時間なんだけど」

「あぁ、すいません。すぐ出ます」

弓矢を元あった場所へ返し、出口へと足を進める。…妙に、視線を感じるのは気のせいだろうか。