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『結構可愛いとこあんじゃん〜w』
「おいやめろって…。」
俺の頭をわしゃわしゃと撫でる外交官。白衣の人が言うに、外交官はAという。あまりこんな事をしなさそうな顔をしていたから少し驚いた。しかし撫でてくるのは心外だ。殺し屋の俺を前にこんなこともできるなんて、彼女の心は鋼なのだろう。
『で、本題に入ろうと思うんだけど、君のような戦力になる人物を殺すのは勿体無いよ。しかも銃の扱いがプロじゃないか。是非とも、私達と同じ幹部に。」
頭がおかしいのではないかと疑う様な事を言い始めた外交官はまた白衣の男、………訂正、きりやんとグチグチ言い合いを始めた。この人はずっとこの調子の様だ。
『心の内では私を殺そうとしてもいい。しかし表上では仲間ということにするんだ。そうしたら私達も戦力が上がるし君もいつでも私を殺すことができる。』
『どう?仲間にならない?』
「ほらまたそう言う事言い出す〜…」
どうせ、殺される身だったのだから死ぬか生きるかと言われたら生きたい、と答えるのが大半だろう。俺も、その後者の一人である。
少し間を開け、承諾の言葉を返す。
しかし条件として、幹部ではなく一般兵として扱う事。
『!そう!素直だね。じゃあ私はここで失礼するよ。同盟国の総統がそろそろ来るはずなんだ………………いやぁ、あの人色々面倒なんだよなぁ…』
そう面倒臭そうな顔をして愚痴を言う。また外交官は先程壊して入ってきたドアをまた踏みつけ、部屋を出て行った。
「…はぁ、じゃあnakamu。俺とA以外にも幹部はいるんだけど、それは知ってるよね?」
「まぁ、一応。」
「俺とか他の幹部にはタメでいいよ。多分皆気にしてないタイプの人しかいないから。俺の名前も"きりやん"で。」
「…了解。今後はタメで失礼」
きりやんは疲れている様なのか時々ため息をつく。それに加え、俺に冷淡に接している様に見えたが治療や言葉の丁寧さから根はいい人なのだろうと思う。
…第一印象、ツンデレ。
「勘違いするなよ、俺はお前を認めた訳じゃない。」
彼は立ち上がり俺のカルテと思われるものを片手に持ち部屋を去って行った。…まるで、本物の医者の様に。
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作者名:単柴 | 作成日時:2020年6月27日 18時