(仮) forth (ページ17)

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「大丈夫？」

「あ、はい…大丈夫、だと思います…。あ、二宮さん、ありがとうございます。わざわざ知らせてくれて…」

「それはいいよ。倒れられる方が面倒だし。じゃ、行く？」

壁に預けていた背中を起こして、踵を返した二宮さんのスーツの裾を咄嗟に掴んで引き留める。

「え？」ってビックリした顔して振り返った二宮さんには気付いているけど、そこは一旦スルーさせてもらって、昨日二宮さんからもらったアドバイスを実行する。

頭の中に今だからあるモノを思い浮かべる。お揃いのタンブラー、マーライオンペン、大野さんに松本さん…出来るだけリアルに……

「……あの、二宮さん？」

「なに？」

掴んだままのスーツの裾を眺めていた二宮さんが顔を上げる。ちょっとだけ耳が赤い気がするけど、そんな事を気にしている場合じゃない。

「変顔…してくれません？」

「は？」

「だから、変顔…」

「いや、は？なんで？」

「なんでって…フラッシュバック起こしそうになったら、二宮さんを思い浮かべようと思って……」

「うん。それは良いと思うよ。思うんだけど、なんで変顔？って聞いてんの」

「だって、インパクトある方が咄嗟に思い出しやすいと思って…ダメですか？」

目には目を…的な？先輩の存在という衝撃には、二宮さんの変顔という衝撃で対抗しよう、的な……

「あなたさ、時々思考回路がぶっ飛んでるよね…相葉さんの影響なの？それ？」

はぁってため息を吐いた二宮さんが、憐れむような視線を向けてくる。