(仮) forth (ページ16)

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エレベーターホールから角を一つ曲がった先にある営業一課。

角を曲がる時にもう一度深呼吸して、覚悟を決める。先輩がいても、いなくてもいつも通りに…普通に、平常心で……

覚悟を決めて曲がった角。営業一課に続く廊下。顔を上げた先には、一課の入り口に背を預けてスマホを弄る人。

ん？二宮さん？何してるんだろ？

二宮さんの姿に、張り詰めていた気持ちが緩んで、パタパタと歩み寄る。

「おはようございます。こんな所で何してるんですか？」

「ん、はよ」

「あの…？中、入らないんですか？」

「んー？さっきまで中にいたんだけどね、出てきた」

スマホをポケットに仕舞いながら、二宮さんが顔を上げる。

その二宮さんを「なんで？」って問い掛ける様に見つめた。

「翔ちゃん。もう来てるよ」

「え？」

「知らずに入ってきたら、また倒れるんじゃないかと思って、待ってたの」

「え？私を、ですか？」

「当たり前でしょ。他に誰がいんのよ？」

「あ、いえ…そーですけど…」

私を待っててくれたの？先輩がすでに中に居る事を知らせる為に？わざわざ？

二宮さんの行動に驚きながらも、チラッと入り口の奥に目を走らせる。

この中に櫻井先輩が居る…心の準備はしてきたはずなのに、一気に気が重くなる。