(仮) forth (ページ15)

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翌朝。いつもより少しだけ早く目が覚めてしまったけど、出来るだけいつも通りに出勤の準備をした。

とりあえず今日を凌げば……

そんな思いで、気合いを入れて玄関のドアに手を掛ける。

決戦は金曜日。そんな歌もあったなぁ…まさに今日は私にとって決戦の金曜日。

緊張はしてるものの、思ったよりも不安は少なくて、逆に驚いてしまう。

なんて余裕をかましていたくせに、会社の最寄り駅に着いた途端、小さな不安が顔を覗かせ始める。

一歩、一歩と会社に近付くにつれてその不安は膨らんでいき、ドクドクという心臓の鼓動をハッキリと感じる。

エントランスを潜る時、エレベーターに乗り込む時、一回一回深呼吸を繰り返して、「大丈夫」って何度も唱えて心を落ち着ける。

営業一課のあるフロアに着いて、エレベーターから降りたものの、一歩が踏み出せない。足が言うことを聞かない。

大丈夫。先輩、まだ来てないかもだし…。でももし来てたら？や、でもきっと二宮さんがもう来てるはず。大丈夫。二宮さんがいてくれるから……大丈夫、大丈夫……

動かなかった足に力を入れて、無理矢理一歩を踏み出した。その一歩を踏み出せた事にちょっとだけホッとして、重い足取りではあるけど、二歩、三歩と歩を進めた。