(仮) ～サイド～ (ページ6)

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６～A.M ページ6

次の日から俺はAちゃんにコーヒーを淹れるようになった。

その時ちょうどマスターからコーヒーの淹れ方を教えてもらっていた俺はAちゃんに試飲役をお願いした。

「コーヒーが苦手」というAちゃん。

「一口でいいから！まだお客様には出せないから、味見して感想教えて」

そう言って頼みこんだら、渋々だろうけど頷いてくれた。

豆やブレンドを変えながら試飲を何日か続けて、Aちゃんは苦味が特に苦手なんだって分かった。

そこから微調整を繰り返しながらAちゃんの口に合う物を探し続けた。

「美味しい…」

Aちゃんがそう言ってくれたのは、試飲を始めてから１ヶ月以上経った頃。夏も終わって10月になっていた。

やっと見つけた！ってホッとして顔を上げた先に見えたのは、柔らかく頬笑むAちゃん。

こんな顔して笑う子だったんだ

初めて見た本当の笑顔に嬉しいのと同時に胸が苦しかったのを覚えている。

なんでこんな子の笑顔を奪うんだよって、誰だよ、この子を笑えなくしたのはって…こんなに綺麗に笑う子なのに…

だから決めたんだ。俺が守ろうって。いっぱい笑わせてあげようって。いつか笑いすぎて苦しいって、もう笑いたくないっていうくらい笑わせてやろうって。