024:そっと睫毛を伏せて ページ25
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「なあAちゃん」
「…」
「なあなあAちゃん」
「…」
「なあAちゃん何してんの?お話しようやー」
「篠原はただいま留守ですまた掛けなおしてね治くん」
「…Aちゃん面白ないで。お笑いの極意教えたるからうちにお嫁に来ん?養うから。なあほんまに何しとるん?」
宮家のリビングのソファ。
大きな二人掛け用のそれに、顔のあいうえお体操を変顔の如くやる体操座りの私。と、キンキンに冷えたぶどう味のチューペットを勢いよく吸う治くん。
私の肩に頭をもたれ掛からせるこのいとこ。
ちょっと何やってるかよくわかんない。
下心があるのかないのか、心臓は僅かに早鐘を打っている。
「小顔筋トレ!ねえこしょばいよ治くん。あと重い」
首にぐりぐりと頭を押し付ける彼の髪がこそばくて仕方ない。
息が漏れ出そうなので、やめてくれるとほんとうに助かるんだけど。
「ふっふ。Aちゃん顔赤いで」
そう告げる治くんの顔は侑くんそっくりだ。
そりゃそうか、双子だし。
したり顔で笑う彼の顔が憎たらしくて、
「治くん、今侑くんにそっくりだよ」
と、彼への最強の布陣を突き付けても、まだにやにやして嗤っている。
童顔になってなんだかかわいい。
「…チャーミングなベビーフェイスだね」
鼻を鳴らしてそう返せば、
「なんで俺馬鹿にされとるん!?最近Aちゃん当たり強ない?」
垂れ下がった耳と尻尾が見えた。幻覚。
けれど、そんなメンクイの血も一瞬にしてかき消され、
「まだAちゃん顔赤いで。もしかして俺のこと意識しとるん?」
こちらをニヒルに窺う彼はほんとうに国宝級だなぁ、としみじみ治くんを舐めまわすように眺めていれば、彼の頬が火照ったように色づいた。
「そんな眺めんといて」
治くん、最近侑くん化してきてない?
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パルム(プロフ) - らさん» コメントありがとうございます!確かにそうだな、と考えなおしました。北さんに二度目の好きを洩らした後のヒロインと北さんの展開はご想像していただけると幸いです。これからもっとその人物に寄りそう素敵な小説が書けるように努めさせていただきます。 (2021年8月9日 19時) (レス) id: 7103dc21f5 (このIDを非表示/違反報告)
ら - んー、2回もヒロインに告白させるのは北さんぽくないなぁ、、、せめて2回目は北さんからの方が綺麗なお話になっただろうに少し残念です。 (2021年8月9日 9時) (レス) id: c2c5a94e17 (このIDを非表示/違反報告)
パルム(プロフ) - 、さん» 教えてくださってありがとうございます!私自身もともと機械などに疎いのですが、うらつくが好きなので投稿させてもらっている次第でした。自分なりに調べてみて、今は外したことになっています。正直すごく不安なので、教えてくださると幸いです。 (2020年8月16日 6時) (レス) id: 7103dc21f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:パルム | 作成日時:2020年8月16日 0時