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022:I thought it was a sad day ページ23






何も発せない私に黙ってついてきてくれる北先輩の気配りが、動悸を加速させる。
体育館の南出入口を抜け、中庭の大きな松の木の下。



「…北先輩」



掠れてつむげなかった言葉を、彼は促した。



「おん、かまへんよ」


真っすぐとこちらを見据え、相手に向き合おうとするそんな彼の人柄が好きだ。





___大きく息を吸う。





「北先輩。好きです。初めて会った時から、今まで。ぜんぶ真摯に取り組むところが素敵で、大好きです」




動悸が、どんどん加速していくんだ。

心臓が、嗚呼痛くて、熱い。




物語に出てくるヒロインのように、魅力的で愛らしい女の子になりたいと、ずっと思っていた。

甘い毒のような言葉を吐いて、かわいいなんて。





ほんとうは、好きな人が自分の好きな人とか。

そういうのに心の底から憧れて。




世の中の両想いというのは、奇跡なんだと知った。





けれど私は、推して押して押しても、報われる可能性なんて未満か以下。

じゃあ押すしかない。


引くなんて、そんな場合じゃない。





押して引いて?

そんなの、よっぽど自惚れてればいいじゃん。

悲しいけど。





「ありがとうな」




そっと口を開いた、北先輩の優しい顔を見る。

なんとなく困ったような。



瞬間、彼を拒みたい。




「でも、すまん。Aさんのことは仲良くしていきたいと思てるけど、これは多分恋愛とかそういうのとちゃうねん。中途半端にお付き合いしても失礼なると思うから、ほんまありがとうな」






分かっていたような、ここまでの時間は私の優しい幻想だったんじゃないか、そんな錯覚に陥る。






「そんな私こそ、ありがとうございました」








『女の子は笑顔がかわいいんだよ』




辛いとき、悲しいとき、私は今までこの言葉にいつも救われた。

何故って、笑うことで嫌なことなんてすべて忘れ去れるから。

泣いても、何か変わるわけではないと気づいたから。



でもきっと、辛いときには泣いたっていい。

嫌なことも、吐き出すことで楽になる。








だから今は、とびきり素敵で優しい女の子でいよう。

いつか、もしも、先輩が私を思い出した時に、

あの後輩、いい子やったななんて思って欲しいから。






「部活、頑張ってくださいね!」






だからね、明日は二人に泣きつこうと思ったんだ。

『振られちゃった』って。笑顔で。

023:愛らしい女の子→←021:I thoght it was a good day



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パルム(プロフ) - らさん» コメントありがとうございます!確かにそうだな、と考えなおしました。北さんに二度目の好きを洩らした後のヒロインと北さんの展開はご想像していただけると幸いです。これからもっとその人物に寄りそう素敵な小説が書けるように努めさせていただきます。 (2021年8月9日 19時) (レス) id: 7103dc21f5 (このIDを非表示/違反報告)
- んー、2回もヒロインに告白させるのは北さんぽくないなぁ、、、せめて2回目は北さんからの方が綺麗なお話になっただろうに少し残念です。 (2021年8月9日 9時) (レス) id: c2c5a94e17 (このIDを非表示/違反報告)
パルム(プロフ) - 、さん» 教えてくださってありがとうございます!私自身もともと機械などに疎いのですが、うらつくが好きなので投稿させてもらっている次第でした。自分なりに調べてみて、今は外したことになっています。正直すごく不安なので、教えてくださると幸いです。 (2020年8月16日 6時) (レス) id: 7103dc21f5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:パルム | 作成日時:2020年8月16日 0時

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