017:甘い香り ページ18
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『もう高校生なってしばらくたったよなー』
お風呂に浸かりながら、お昼休みの誰かの言葉を思い出す。
その時は親父臭い台詞だなと思ったけど今更ながらに共感します、ごめんね山田くん。
もうすぐで一か月。
そう考えるとやっぱり時間の流れっていうのは早いなあと思う。
血行促進とかかれた入浴剤をちゃぽん、とお風呂の中に放り入れる。
父の遺伝で天然パーマという髪質の星のもとに生まれた私。
勿論、ストレートで艶々な髪の子なんて本当にうらやましい。
『人間ないものねだりだもん』
昔、近所に住んでいたさらさらの髪のお姉さんが、
私の髪を煌々とした眼差しで見て言った言葉。
彼女は私が心底なりたかった、あの髪が嫌だったらしくそんなことを言っていた。
この時私は、誰しも口にしないだけで、心の奥底では憧れを潜ませているのだ、
ということを知ったのだ。
だから、まあこれも自分の個性か、と思ってなんとか頑張っている。
いいシャンプーで、いい洗い方で。
なんて考えて奮発して、ヘアオイルというものも買ってみた。
日本の言葉では古くから、「一髪、二姿」という言葉があるらしい。
女性の美徳として、着飾るよりも髪を美しくすることが大切。
という意味で、これを知ったときの尊敬の気持ちで、髪を洗う。
角名先輩に近づいた時の、あの風のようなさっぱりとした香りも素敵だったけれど、
私はドラッグストアとネットを使って、たくさん考えた末、
あんずと山桜のほのかに甘い香りにした。
北先輩はどんな香りが好きかな、なんてちょっとあんまりかな。
でも恋する乙女だし!
なんだ私。ちゃんと青春楽しんでんじゃん。
悩みも不安も抱えて、浮き沈みが激しい今をアオハル。
___どんな人がタイプですか?
___静かできれいな人が好きですか?
___私と恋してくれませんか?
いっぱいいっぱい一人だけで想いが零れそう。
だからね、もっと君を知りたい。
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パルム(プロフ) - らさん» コメントありがとうございます!確かにそうだな、と考えなおしました。北さんに二度目の好きを洩らした後のヒロインと北さんの展開はご想像していただけると幸いです。これからもっとその人物に寄りそう素敵な小説が書けるように努めさせていただきます。 (2021年8月9日 19時) (レス) id: 7103dc21f5 (このIDを非表示/違反報告)
ら - んー、2回もヒロインに告白させるのは北さんぽくないなぁ、、、せめて2回目は北さんからの方が綺麗なお話になっただろうに少し残念です。 (2021年8月9日 9時) (レス) id: c2c5a94e17 (このIDを非表示/違反報告)
パルム(プロフ) - 、さん» 教えてくださってありがとうございます!私自身もともと機械などに疎いのですが、うらつくが好きなので投稿させてもらっている次第でした。自分なりに調べてみて、今は外したことになっています。正直すごく不安なので、教えてくださると幸いです。 (2020年8月16日 6時) (レス) id: 7103dc21f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:パルム | 作成日時:2020年8月16日 0時