白い花と赤い実と【文スト】 (ページ4)

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守勢と、白。ページ4

「むあぁー、暇だー外出たいー」
「首から上消えちゃうよ、乱歩さん」
「監視映像に異常はないか」

社長の言葉に晶子さんがパソコンの画面を見る。

「今の所は退屈な映像ばっかりだねェ」
「この講堂は通常入口が存在せず、侵入には地下の廃路線を通る他ない。
故に敵兵が進行してきた時、路線内の監視映像によって事前にそれと知れる」
「道中は罠も満載だしねェ」

この地形で侵略戦など、余程の大軍隊でもなければ二の足を踏むと。

…何か、胸騒ぎがする。
嫌なもの、…否、いい予感はしないけど決して私にとって嫌ではないような。

…飽くまで私にとっては。

「戦争なんて退屈だよ！駄菓子の備蓄は反日で尽きたし…」

乱歩さんが膨れている。
戦争が退屈って流石乱歩さん発想が違う。

「与謝野さんこれで花札やろう」

ふと顔を上げた乱歩さんがパソコンを引き寄せる。

「おやおや、何賭ける？」
「賭けるの前提なの？」

…乱歩さんが止まった。目を見開いて。

胸騒ぎが一層強くなる。

「社長、攻勢を呼び戻した方がいいよ」
「敵襲か？人数は？」

…その画面を見て、私は、体の芯が縮まるのを感じると共に息を忘れた。

「１人だ」

「……何っっっっで、選りに選って、君なわけ…！？」
「文？…知り合いか？」

「知り合いも何も…！

件の恋人だよ、ああもう面倒な事になってきた！馬鹿！」

私の苦悩など知りもしないで、その人は画面の中で笑ってから。

ぶつりとそれを暗転させた。