Apricot Fizz

7話 ページ8

『(相変わらずここは目がチカチカする)』







先日ぶりのネオン街は何も変わらず


今日も人の醜さを集めている








『確か、もうちょっと行った先の路地を…』






『(……なに、この寒気みたいな)』









何も変わらず、というのは撤回したい





少しだけ様子がおかしい









『(よくわからないけど、足が震える)』









得体の知れないビリビリとした殺気を感じていた


どこから、といわれるとわからない


足が動かない


冷や汗が止まらない










「にげろ」






誰かにそう言われた気がした










『はっ』









瞬間、私は弾かれたように走り出した






走り出したことによって分かったことがある










男「くそ、おい逃げられるぞ！！！」


『えぇ！？なんで！？』









私は数人の男に追いかけ回されるらしい











『なんでなんでなんで…っ』


『わたしなにも、悪いことしてな』










ﾊﾟﾝｯ










『え、』











乾いた破裂音と共に










脇腹に鋭い痛み













『あ、ぐ………なにっこれ、』









撃たれた







その事実を受け入れるには

私はまだ無知すぎた







『こわい…っ、たすけて』









正直痛すぎて立っているのもやっとだが


あいにく私は死ぬつもりは無い




こいつら、
後でお父様にボコボコにしてもらうんだから…！













男「どこ行きやがった！！！！！」













『はぁっ…は、ふー……』











どうにか路地裏に逃げ込めたらしい





誰か人がいれば助けを求めるのに





こんな時に限って誰もいやしない









『あそ、こに…いけば』













唯一運が良かったとすれば









BAR【any color】








求めていた看板がすぐ近くにあったことだ


しかし


扉には【CLOSE】の文字











『そんなっ、嘘でしょ……』











男「おい！ここに血がついてるぞ！」











びくりと肩を震わせる







考えている暇は無い









私は

どんどん冷たくなる手を扉にあて

渾身の力で扉を開ける






CLOSEと書いてあるのに

どうやら鍵はかかっていないらしい













店内には

あの日の綺麗なお兄さんたち











叶「すみません、今日は定休日で……！？」


葛「おい！お前…！」


イ「しっかりしろって！！」












『たす、け……っ』















私の意識は

そこで途切れた

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