Apricot Fizz

2話 ページ3

？「いらっしゃいませ。おひとり様ですか？」


『…はい』


？「では、カウンターのお席へご案内してもよろしいでしょうか？あいにく満席でして」


『構いませんよ』


？「かしこまりました」














なんだこのイケメンは


脳内で発した第一声がこれ


よくよく見渡したら接客に出ているのは全員男性で


しかもそれなりに容姿が端麗である











『(ホストクラブかなにか？)』










そして私を案内してくれたこのお兄さんに関しては


もはや日本人ですらない





銀髪に褐色、青と黄緑色のビー玉のような瞳


胸には金のネームプレート


そこには『Ibrahim』の文字










いぶ…え？何？

い、ぶ、らー……ひむさん？













イ「不破さん、お客様1人カウンターっす」


不「は〜い。イブちゃんちょっと言葉崩れてるよ」


イ「あ………んん、こちらの席へどうぞ」


『は、はあ…はい』










イブちゃんと呼ばれたその人は


すぐに他の注文を取りに行ってしまった






綺麗な人だなぁ…なんて思っていると











不「あまり見かけないお嬢さんですね。こちらへ来るのは初めてですか？」


『は、はい…』


不「にゃはは、そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ。そうですねぇ…じゃあ1杯だけ、サービスしますね」


『あ、え？いいですよそんな』


不「こんな夜更けにこんなに綺麗な方に来ていただけるなんて。これも何かの縁です。」














そう言ってにこりと微笑むお兄さんの胸には


『Minato』の文字


ここのお店は苗字ではなく名前を表記するのか…






ますますホストっぽいなおい











それにしても












不「…？そんなに熱心にみられると照れますね」


『わっ、ごめんなさい』


不「いいえ、いいんです」















このお兄さん。かっこよすぎる。


見た目こそ派手だがシェイカーを振る様は優雅で


一つ一つの動きに無駄がない


これはきっと何人もの女性を落としてきたに違いない















不「お待たせしました」


『わぁ…綺麗…』


不「エンジェルキッスというカクテルです。飲みやすいのでおすすめですよ」


『本当だ、美味しい』










まるでデザートを食べているかのような甘い味











不「……」













子供のように目を輝かせる彼女を


紫の鋭い視線が見ていたことを


彼女はまだ知らない

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