06 ページ6
.
〜黒尾 side〜
スマホの目覚ましの音で目が覚めた。
もう朝か。
と枕から顔を上げると
「！？」
隣になぜかAがいた。
床の上だぞ？ え、昨日ベッドで寝たよな？
「……A」
俺は起き上がってAの体を揺すった。
すると案外すぐに目を覚ますA。
てつくん、と
声にならないくらい小さな声で俺の名前を呼ぶ。
「……思い出しちゃった？」
当たらないでほしい勘だけど
いつもベッドで熟睡のAがこんなことするのは
昔のあの事件のこと思い出しちゃったんじゃないかなって。
案の定、Aは言いにくそうに口を噤んで頷く。
その顔を見る度に申し訳なさに苛まれる。
あのとき俺が目を離していなければ。
研磨にそばにいろって言っておけば。
Aはあんな目に遭わずに済んだのに。
「……そういうときは起こしなさいよ」
『……ごめん』
「……俺の方が、ごめんな」
本当に＿＿＿
そのとき、
「鉄朗！ 起きないと朝練遅刻だよ！！」と1階から母さんの叫び声が聞こえてきた。
やべ
『……私も下行く』
「ん。抱っこする？」
『……する』
「ははっ、めっちゃ可愛いんだけど」
俺はAの体に腕を回して持ち上げた。
こんなときしかAに触れることはできない。
軽い。ほぼ骨と皮しかないようなもんだからなぁ……
部屋を出て階段を降りて1階に向かう。
「Aもーちょっと太りなさいよ」
『……いやだ』
いやだ、って……
1階に着いてリビングに入ると、
母さんが俺らのことを見て「朝から仲良いねえ」と笑う。
父さんはもう仕事に行ったっぽい。
Aのことをソファーに寝かせてブランケットを掛ける。
「あと1時間は寝れるから寝てな」
『ん、てつくんありがとう』
「いーえー」
ニヤニヤしている母さんなんて気付かないふりをして朝飯を食って準備して
Aの寝顔を拝んでから家を出た。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 470人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ChachaY - ストーリがもう最高です！！黒尾大好きなのでとっても満足しております！なんか言葉に出来ないほど好きです！これからもがんばってください！ (2月10日 19時) (
レス) id: f1e76f7be4 (このIDを非表示/違反報告)
ウォン(プロフ) - 更新うれしいです！これからも応援しています！ (2月6日 3時) (レス) @page29 id: 120d94ae6d (このIDを非表示/違反報告)
そらと。(プロフ) - 初コメ失礼します！夢主ちゃん可愛すぎません！？私得すぎる...これからも愛読させていただきます...！頑張ってください！ (2月3日 12時) (レス) @page17 id: ea9d7cae20 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ハルカ | 作成日時：2024年2月1日 0時
