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〜孤爪 side〜
Aがおれの家に来るのは大体悩み事相談事があるとき。
今日も例に漏れずそれだった。
『……研磨たちの合宿が終わった日、てつくんが家に来て』
「うん」
『…………』
なにか、言いにくいことなのか
Aはそこまで言うと言葉に詰まって俯いた。
「……クロになんかされた、?」
『……ううん。……ただ、』
「ただ、なに……?」
『……てつくんに、抱きしめていい? って聞かれて、抱きしめられた』
は、
「大丈夫だったの?」
Aは男の人に触られるのを怖がる。
あのときのトラウマが蘇るんだって。
抱きしめられる、なんて尚更ダメなんじゃないの
怖くて、辛い記憶思い出しちゃうんじゃないの
『それがね、……怖くなかったんだ』
「……」
『……前、バレー部の1年生に手握られただけで怖くて思い出しちゃったのに
てつくんには抱きしめられても、怖くなかった』
「……そう」
なんだ
ただの杞憂だったんだ。
まぁそんな気はしてたんだけどね。
「Aはクロが好きだけど、クロは自分のことそういう対象で見てないからしんどくなった?」
そう言うと、Aは俯いていた顔を上げておれの目を見つめた。
そして自虐的に笑う。
『……研磨怖いよ』
「近くで見てきたんだから分かる」
……どれだけふたりがすれ違ってきたか。よく知ってる。
ほんとに、Aはなんの心配をしてるのか……
「なんでAは自分がクロの恋愛対象じゃないと思うわけ」
『だって普通に……可愛くないし、取り柄ないし、てつくんみたいに明るいわけじゃない。面白い話もできない。てつくんが、私といるメリットない』
……本気で何言ってるの……
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ChachaY - ストーリがもう最高です!!黒尾大好きなのでとっても満足しております!なんか言葉に出来ないほど好きです!これからもがんばってください! (2月10日 19時) (レス) id: f1e76f7be4 (このIDを非表示/違反報告)
ウォン(プロフ) - 更新うれしいです!これからも応援しています! (2月6日 3時) (レス) @page29 id: 120d94ae6d (このIDを非表示/違反報告)
そらと。(プロフ) - 初コメ失礼します!夢主ちゃん可愛すぎません!?私得すぎる...これからも愛読させていただきます...!頑張ってください! (2月3日 12時) (レス) @page17 id: ea9d7cae20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハルカ | 作成日時:2024年2月1日 0時