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〜貴方 side〜

ひとりでスポドリを作っていると、あの、と急に背後から声が聞こえて肩が跳ねた。




「自分手伝います!!」




振り向くと1年生、かな? 見慣れない顔の男の子。

私が返事をする前にその子は隣に立った。




「あ、自分1年の中山って言います」

『……中山、くん、』

「はい」




……肩と肩が触れそうな距離。


近い、こわ、い、




「清野さんって黒尾さんと孤爪さんと仲良いですよね」

『……そ、だね』

「どっちかと付き合ってたりするんですか?」

『いや、違うけ、ど……』




否定した途端、

ボトルを掴もうとした私の手の上に
中山くんの手が重なった。


咄嗟に引こうとしても
固く掴まれて、振り解けない。

顔を上げると中山くんは不敵に笑っていた。




「……俺、清野さんに一目惚れしたんです」

『っ、……や、っ』

「黒尾さんか孤爪さんと付き合ってるなら諦めようと思ったんですけど、そうじゃないならいいですよね?」

『……やだ、やだ』




力で勝てないこの絶望感。

あのときを思い出す。


嫌だ……っ




「なにしてんだよ」

『っ、』




突如聞こえた、低い、でもゆったりとした優しい声。


声のした方を見ると
てつくんが無表情でこちらへ来る。




「あ、や……」

「とりあえず手、離して」

「……すみません」

「いや怒ってないよ。中山は体育館行きな。みんなアップ始めてる」

「……はい」




左手に重ねられた体温が消えて、
中山くんは小さく会釈をして体育館へ小走りで向かった。


さっきまで中山くんがいたところに
てつくんが立って




「……ごめん」




そう、言った。




「怖かったろ」

『……ありがとう、てつくん』

「……俺のこと、怖い?」

『怖くない、全然、怖くない』

「……手、握ってもいい?」

『……ん、』




短く返事をすると
てつくんはさっきまで触られていた私の左手に手を重ねる。

そこで気づいた。手が震えていることに。


でもてつくんにぎゅって握られて少しすると、震えは収まった。




『……てつくんすごいね』

「……なにがだよ。全然すごくねえよ」

『ううん、落ち着く』




この大きな手に触れられるのは、全然怖くない。

研磨の薄い手も。




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設定タグ:ハイキュー!! , 黒尾鉄朗 , 孤爪研磨   
作品ジャンル:恋愛
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ChachaY - ストーリがもう最高です!!黒尾大好きなのでとっても満足しております!なんか言葉に出来ないほど好きです!これからもがんばってください! (2月10日 19時) (レス) id: f1e76f7be4 (このIDを非表示/違反報告)
ウォン(プロフ) - 更新うれしいです!これからも応援しています! (2月6日 3時) (レス) @page29 id: 120d94ae6d (このIDを非表示/違反報告)
そらと。(プロフ) - 初コメ失礼します!夢主ちゃん可愛すぎません!?私得すぎる...これからも愛読させていただきます...!頑張ってください! (2月3日 12時) (レス) @page17 id: ea9d7cae20 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ハルカ | 作成日時:2024年2月1日 0時

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