嵐の出会い 8 ページ9
波音を掻き消す程の、風が唸り声を上げる
弾丸のように激しく降り注ぐ雨
立っているのだって危うい位に船は揺れる
その上に、クラピカとレオリオは立っていた
互いにそれぞれの武器を持ちながら
クラピカは木剣を、
レオリオは小型のナイフを、
「先程の言葉を、今すぐ訂正すれば許してやるぞ。…レオリオ」
「てめぇの方が先だ。クラピカ。オレから譲る気は全くねェ」
短い刀身が鈍く光る
それを合図にクラピカはレオリオに駆け寄った
「行くぞ！」
手の平には、あの頃と比べられない程に馴染んだ柄の感触
初めて自分の意志で使う武術
レオリオに近づく度、自分の鼓動が速まるのを感じた
最初の一刀を相手の右手首に、
寸分の無駄も無く、振りかぶる
「カッツォ！！」
風を切り裂く程の叫び声が聞こえた
反射的に、その声の方へ振り向く
！！、まずい
今、自分が置かれた現状に気づき、体制を整え慌てて木剣を構える
しかし、
そこには誰も居なかった
「危ねぇ！！」
その代わり、私の横を通り過ぎる影が
しかも、敵である筈の私に背を向けて、
驚いてレオリオの視界の先を見れば、海へ投げ飛ばされる1人の男の姿、
危ない！！
また、意識も無く、クラピカの体が動いた
素早くレオリオの後を追いかける
体中の血が、酸素が、一気にクラピカの体を駆け巡った
今までに無い位、足が速く動く
レオリオとほぼ同時に、手が伸びる
男の体はもう、船の外へ飛び出ていた
手摺を支えに思い切り手を伸ばす
それでも、後、数ミリ、そこで男の足に届かない
空を掴みかけた手
レオリオもその手に掴んだものは何も無い
助けることが、出来なかった
この嵐の中では、きっと、彼は助からない
諦めかけたそのとき、私の目の前に緑の物体が飛び出した
それは、迷いなく海へ飛びこんでいく
驚くとか、呆れるとか、そんな感情を持つよりも、彼の足首を力強く掴んでいた
強く、強く、決して離さないように
隣を伺えば、レオリオも足首を掴んでいるのが見えた
交わる視線
2人は同時に頷く
「「せーの！！」」
声を合わせて、勢い良くゴンを引き上げる
よくよく見れば、その手には男の足が、
あんなにも、潔く海に飛び込んで行った理由はすぐに合点がついた
ーーなんて、無茶を…
まぁ、それが彼らしいのだけれど、後できつく言っておかなくては…
思わず零れる2つの溜め息
そしてこれまた、零れる2つの苦笑
やっぱり、ゴンは人を和ませるのが得意だな
こんなときでも、笑っていられるのだから
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 12人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
純花 - 頑張って下さい！ (2019年10月5日 10時) (
レス) id: d5c5fac556 (このIDを非表示/違反報告)
柊 ニイナ - 久しぶりに更新をしてみたら、なんということでしょう、星が黄色になっていました。評価して下さった方、お気に入り登録して下さった方、小説を読んで下さってる方、本当にありがとうございます。気まぐれな作者ですが、これからもよろしくお願いします。(o´ω｀o) (2015年8月20日 0時) (レス) id: 00fd6c485f (このIDを非表示/違反報告)
◇ライト◇(プロフ) - 柊 ニイナさん» はい！楽しみにしてます(*´∀｀) (2015年3月6日 23時) (レス) id: 27e7b74444 (このIDを非表示/違反報告)
柊 ニイナ - ◇ライト◇さん» ◇ライト◇さん、ありがとうございます。学生の敵（テスト）をやっと倒せたので、これからは更新率増やしていけるよう頑張りたいと思います。 (2015年3月6日 5時) (レス) id: dfd590a73e (このIDを非表示/違反報告)
◇ライト◇(プロフ) - すごく続きが気になります！更新頑張ってください！！ (2015年3月5日 1時) (レス) id: 27e7b74444 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：柊 ニイナ | 作成日時：2014年12月10日 22時
