クラピカとパイロ 3 ページ18
森に流れる川の向こう岸
外の世界とクルタの森の境界線
そこに茂みに隠れた小さな穴ぐらがあった
初めて見つけたときは好奇心のまま奥へと進んでみたが、歩いて数歩のところで土壁にぶつかってしまった
暗がりのせいで奥深く見えただけで、実際は大人が横になれる程度の空間だった
少しがっかりもしたが、嬉しさの方が大きかった
子どものクラピカにとっては十分すぎる程の広さだったし、何より秘密の場所を持てる喜びの方が大きかった
すぐにパイロに知らせると、彼にしては珍しく興奮する姿を見せた
琥珀色の瞳にキラキラと赤い光を灯しながら、ここをどんな場所にしようかなんて楽しげに話し出す
その姿がなんだか嬉しくておかしくて、彼女は笑った
その日は日が暮れるまで、穴ぐらの中は話し声が絶えることはなかった
・
「じゃあ、火をつけるよ」
「うん」
ガラスの中に入れた蝋燭にマッチで火をつける
ほぅ、と小さく揺らめくと辺りは暖かな橙の灯に照らされた
このランプは、昔、父さんが僕の誕生日にくれたものだ
父さんが外の世界に買い物へ出かけたときに買ってきてくれた僕の一番のお気に入り
こんなときに役立つなんて思わなかった
「綺麗だね」
小さな炎の揺らめきを目でおいながら、クラピカが口を開ける
自分と同じ琥珀の瞳に映る光を横目で見ながら、そうだねと答えた
穴ぐらを見つけてから、数日で僕達はこの中を整えた
小さな石や枯れ葉を除いて、敷物をひいたり、本を持ってきたり
稽古が終わった後や手伝い事がないとき、僕らは決まってここによく訪れた
話しをしたり、本を読んだり、明日はこの森のどこへ行こうかなんて相談したりもした
特に何をする訳でもないけど、クラピカと秘密を共有すみたいで楽しかった
クワー、クワーー
スカラ鳥の声が遠くで木霊した
この鳥が鳴くってことは、もうすぐ日が暮れる
クルタの森は急に夜が訪れるから、いつの間にか夜になっていたなんて、しょっちゅうだ
早く家に帰らないと、この前みたいにみんなを心配させてしまう
「クラピカ、もう帰らなきゃ」
蝋燭の火を消して、彼女の手を握る
穴ぐらを出ようとすると、彼女は僕の手を引っ張った
つんのめりそうなのをこらえながら、後ろを振り返る
「どうしたの？」
「……」
黙ったままのクラピカの顔を覗きこもうとすると、いきなり顔を振り、いつもの明るい彼女の顔が目に映った
「何にもないよ、帰ろう」
そう言って歩き出す彼女に疑問を持ちながら、2人は帰路を急いだ
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純花 - 頑張って下さい！ (2019年10月5日 10時) (
レス) id: d5c5fac556 (このIDを非表示/違反報告)
柊 ニイナ - 久しぶりに更新をしてみたら、なんということでしょう、星が黄色になっていました。評価して下さった方、お気に入り登録して下さった方、小説を読んで下さってる方、本当にありがとうございます。気まぐれな作者ですが、これからもよろしくお願いします。(o´ω｀o) (2015年8月20日 0時) (レス) id: 00fd6c485f (このIDを非表示/違反報告)
◇ライト◇(プロフ) - 柊 ニイナさん» はい！楽しみにしてます(*´∀｀) (2015年3月6日 23時) (レス) id: 27e7b74444 (このIDを非表示/違反報告)
柊 ニイナ - ◇ライト◇さん» ◇ライト◇さん、ありがとうございます。学生の敵（テスト）をやっと倒せたので、これからは更新率増やしていけるよう頑張りたいと思います。 (2015年3月6日 5時) (レス) id: dfd590a73e (このIDを非表示/違反報告)
◇ライト◇(プロフ) - すごく続きが気になります！更新頑張ってください！！ (2015年3月5日 1時) (レス) id: 27e7b74444 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柊 ニイナ | 作成日時：2014年12月10日 22時
