ナイ姉様の計らい。 ページ3
お姉様の前で降ろされる。大勢の目に見られている。
私が晒される。
見ないで、殺して、抵抗できない私を。
「テウ〜！」
『テウじゃない。A。いいかげんにっ…』
「ﾋｨｯ…」
刃を向けられた私を抱える子が悲鳴を上げた。
震えがダイレクトに伝わり、渋々認めた
抵抗すれば、私の近くの人が死んでしまう。
『……私はテウです。だからおろして…』
満足そうに笑うナイ姉様の奥の扉からヘラ姉様。
「あらナイ姉様！素晴らしい“品物”じゃない！」
目の前の群れは、拾ってきたか、さらってきたかのどちらかだろう。
テウが帰ってきた記念よ！どれでも好きな子を！
なんて言われた。
『……それより体調が優れないの。』
ホントだわ、顔が真っ青。と二人して顔をのぞき込まれる。
ひょいと運ぶために姫抱きにされた私を目の前のみんなはいろんな感情で見ている。
「わぁ！テウ見て！あの子、テウと同じ髪色！可愛らしいわ！」
『……いらない。』
灰色がかった金髪なんて、そうそういない。
ちらりと見遣ると、銀髪がキラリと輝いた。
その灰色の目は、周囲に対する恐怖と、私に対する喜びが垣間見えた。
「これは、テウのためよ。愛してるわ。」
『ﾋｯ…っ…!』
その女性と目を合わせると女性は、私をじっと見つめて、にこりと微笑んだ。
微かに引き攣っているその両頬を見て確信した。
決して馬鹿にしているとかじゃなくて、周りの人が怖いだけだと。
両手を伸ばすとヘラ姉様は私を彼女の方に近づけた。
「テウに何かあったら、あなたの首が飛ぶわよ。」
バタバタと焦ったようにし、暫くしてからやっと恐る恐る私に腕を回した。
不安定て落とされないか心配で意外としっかりしている腕にきゅぅっとしがみつけば彼女は私をしっかりと抱きしめた。
「A様、よろしくお願いします」
裏声のような、声色の女の子に、よろしく、と微笑んだ。
「早速だけど、テウを部屋に運んでくれないかしら。
その他はテウの部屋の人に一通り教えてもらって。」
ヘラ姉様はそう言って、近くのこの手を取った。
彼女は、私をしっかりと抱えたまま、他の兄弟が集まり、去っていくまでここにいた。
みんなが、私の顔を覗いておはようと声をかけるから、彼女の方に顔を押し付けるようにして顔を隠した。
顔を合わせたくない。
悲鳴が聞こえる光景を見たくない。
『絶対に助けるから……助けるから…』
震えは止まることなく、私を恐怖が覆った
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作者名：COLOR莓愛 | 作成日時：2019年12月15日 10時
