彼女はもともとⅢ (ページ18)

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救助ページ18

お腹から、吐瀉物が出そう
引き換えに、ナイフで心臓を確実に突き刺した。

はずだった

「妹の考えなんて、お見通しに決まってるでしょう？」

私を投げ飛ばし、私を床に組み伏せた姉は勝ち誇ったように笑う。
布団から出る埃に咳き込みつつも抵抗を試みる。

『離せ！っ…！』

ギチギチと首の閉まる音がする。
死にたい。死んだらすべて終わる。
すべて終わって楽になる。

頭がぼーっとしてくる。
目の前が苦しくなって、涙が出てくる。
喉を通過する空気を感じることができる。
唇が張ったように

死にたいのに、口からは必死に息をする。

『はなっ…！！して！！！』

『だれかっ！！！！』

誰かの焦ったように走る足音が聞こえる。

ひやり、と私の腹部に冷たい手が這う
ねぇ、と私の唇をつぅっとなぞる姉にまさかとひやりとする。

妹が死んだ日を、思い出す。

鼻がくっつくほど至近距離で、腹部の手はどんどん上へと登ってくる。
いや

いやだ。

痛いことされる。

「ここでは、法律も、神様も、誰も助けてはくれないのよ。」

『や、やだ…！』

きっとあなたの目に写っているのは、いつもの飄々とした、勝ち気で冷静な私ではなく

『た…たすけて！！！』

きっと、私の心の奥に隠した、少児女の心。

「残念だったわね」

『やだ…！やだだれか！！』

抵抗を試みた。

おねがい、誰か助けてと。
その愛(たすけ)から逃げ出したのは

『こわいの、いや…！』

私のくせに。
虫のいい話だよね。

「A！！」

扉を開いてイライの声がする。
いるわけないのに。

「手を伸ばして！！」

そんなこと言ったって、無理だよ。
体が言う事聞かないの。
兄弟の前になると、動けないの。

そう教えられてるの。

「っ…！！いい加減に覚悟を決めろ！A！！」

覚悟？覚悟って何？
なんの覚悟？私は覚悟してる。

腹を割くナイフが心臓に向かうの。
死ぬ覚悟はしているよ。

「死にたいの？！！」

『…！』

いやだ。死にたくない。

しにたくない！！！

『…すけて…』

姉は私の声を奪った。
生暖かい感覚に吐き気を覚え、視界が潤んでいく。
口を開けるものかと必死に息を止めて抵抗すると姉は顔を離して恍惚そうな表情を浮かべて笑っている。

取ろうとしている手を絡めとられて

姉の愛は、寝ることだった
ナイ姉様はパパから手を出されたその夜に、私に手を出した。

まだ甘える妹を殺して

『い…やだ！』

顔を横にずらし、手を横に伸ばすと、馴染みのある縄が、私を助け出してくれた