彼女はもともとⅢ (ページ11)

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夢見の心ページ11

朝日がゆっくりと出てきた。

昨日の自傷のせいか自分の意識が覚醒した気がする。

お腹の調子もまぁまぁいい。
赤黒くあとの残っているが、死んだほうがマシだと思うほど血を流さなかっただけ良い方だと思える。

相変わらずの甘い匂いは鼻を抑えればなんとかなる。

コンコン、と扉を叩く音がする。
嫌に、生活音がしない。

いつもならこの時間は何かしらの音がするはずなのだが

『カミラ…？』

彼女も冥土さんもいない。
ベットから足を下ろすと、ゆっくりと扉を開けた。

………

しんと静まり返る部屋。

幼児退行の問題はなんとかなった。
精神系のものは、痛みでなんとかなるものだ。

グルカナイフが役に立ってくれた。

幼児退行の原因は甘ったるい匂いのせいだ。
そこまで気にならなくなったということは、体が順応してきてしまったということだろう。

グルカナイフは血に濡れた。
でも、そのおかげで私は血の匂いと甘い匂いが混ざり合い、逆に冷静になってくる。

私を閉じ込めるために、そこまでするのか。

“殺すなら、テウを殺して、ほらぁ”

そんな声が聞こえた。

何かをなぞらえているような気がする。

思い出したくない。

ミラの時と、何か似てるんだ。

このあと、私は母の部屋に向かう。
そしたら、きっと、きっと誰かが待っているだろう。

廊下を渡り、きい、と扉を開けると案の定、そこにはミラの服を着た冥土さんがいた。

「あぁ、A様、申し訳ありません。」

パシっと手を取ると私は駆け出した。
逃げなきゃ。逃げなきゃ！！でもどこへ？

逃げたところで、このままじゃ。

『殺さなきゃ。』

何か、何をなぞっているかわからないけど。

でも、このままじゃ、と、私は猛毒瓶を片手に、グルカナイフを持った。

今度こそ、私はみんなを守るんだ。
罪のない人たちを。