彼女はもともとⅢ (ページ1)

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おかえりなさいページ1

おかえりなさいなんて、縁のない言葉だと
幼少期、ただでさえ判断能力のない子供の判断力をもっとなくなってしまった私はそう思っていた。

母はオペラ座の華。父は画家。
10人の兄弟に恵まれた二人。

でも私はその秘密を知っている。
その子は血の繋がった家族ではない事を。

テウ・アズベルダ・アグマス。

私の名前はテウだった。

私の兄弟の父は人間専門のブリーダーだ。
ペット(にんげん)を作る一家だ。
それを売る貴族だ。
オークションで売るために、美しい孤児達を引き取ったり、連れ去ったりして掛け合わせて売る酷い人だ。

そんなひどい人と、私の母がどうやって関係を持ったかなんて知らない。

でもそれが現実。

幼い時から洗脳に近い暴力的な躾と、異常な愛と理想を押し付けられ、壊れる前に姉と家を飛び出した。

結果、ひどいものだったけど。

人の命に手をかけたのは当時まだ9にも満たなかった。

帰ってきた私は母に連れられ教会に向かった。
すべてを捨てて、テウを捨て、母の名になり

ここで初めてA=Aが誕生した。
教会でも、父でも、神でもない。
自分と母が考えた名前。
大切な人格。

教会の人は優しかった。

でも、私は優しくなれなかった。

神が嫌いだった。

だから私は自ら志願した。

でも、どれだけ尽くそうと、何をしようと私の罪はきれいにはならない。許されない。

誰のせい？

誰のせいでこうなって？
誰がこうした？

誰がいけないこ?

誰が悪い子?

誰が悪いの？
誰がいけない？
どうしてこうなってしまった?
原因は？

原因は?何?
おかしい原因は排除だ。
こうなった理由も
復讐しないと
原因はわかってる

それから長年、復讐を生きる糧に生き続けた。

穢れた花は二度ときれいにならないように。
穢れた私も二度ときれいにならなかった。

私はだから、開き直ってしまった

すべてがすべて、私を責めてる気がして、生きているのか自分でも不思議になって、消えたくなって、死にたくなって。どうしょうもなく。

そして荘園で、私はたくさんの人に出会い闇を垣間見た。

姉を殺した妹や
認証欲求から高ぶる人。
愛する者に会いたい悪徳弁護士や
自分の目を治したい占い師。
死に別れた父に会いたい技術士や
仲間と死別したグルカ兵。

様々な人の愛を受け、でも怖くって逃げてしまった。

自分のしてることが無駄だと言われてる気がして。

そして復讐の刃を下しに自身の家に帰った。