【実ｼ兄者】彼は地獄を蹂躙す【ωrωrd!】 (ページ49)

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かいしんのいちげき！ページ49

まぁでも、と微笑んだしん先生の面を風が弄ぶ。

ユラユラと私の髪も揺らした

(…そろそろ切らねばな。)

「確かに一カ月に一階しか行けなかったのはそれが理由でもあるけど…」

『あれ、私がダメージを負ったいみは?』

「でももう、呼ばれたらすぐに行くよ。」

しばらくはのんびりしてるよ。
なんで、と私の声が風を呼ぶ。
さりげなくしん先生も話をぼかしたがツッコむ気力も無い

それは、視界に入った包帯。

ぴらり、と窓から来た風が私の前髪を分けた。
しん先生の面も捲った

『せ…先生、それ、』

絶句。例えようのない驚き。

「これも理由だけど、最大の目標が達成されたからね」

『せんせい、怪我…』

先生は私の頬を撫でた。

「会いたかったよ、Aちゃん。」

割れ物を触るような優しい手つき。冷えた手は少し湿っている。

間。
心配から一言もしゃべれない私にしん先生はそれに、と笑う。

「ここには探さなくてもイケメン多いからね」

『十中八九それが理由だな?』

「あ、大丈夫！女もイケる。」

『進化してるし。』

うわぁ…と言葉にならない声で心の距離を作る。
はーい、心のシャッター締めましたー
なんて言うと、えぇ～？！とオーバーに驚き開ける仕草をする。

「いや、聞いて?戦場では子孫を残そうとする力が向いてね?」

『その力がなぜ性癖の方に行かない！！
新たな扉を開くな！』

「なんかAちゃんの口から性癖って言葉聞くとなんか萌える。」

『そのまま燃えて、どうぞ。』

先程の心配は何処にやら。
心配した私が悪かった。と引かれた手に、重力に従い

昔のようにしん先生の足の間、“特等席”に座った。
ここは、上手く甘えられなかった小さな私が正直な考えや、願望を話せる唯一の場所。

合えなくなってどれだけ我慢しただろう。
今こそ、何でも、は話せないけれど
今こそ、大きくなってしまったけれど。
空白の時間を埋めるようにゆっくりした時間を過ごす。

「いやぁ、戦場では女装男子も居たし、男装女子もいたよ。いやぁ、以外と美味しく頂ける。」

『うわぁいらない感想アリガト』

棒読みじゃん、と笑う、そのカラカラとした笑い方が太陽のようで

『いやぁ、一番の衝撃だったよ。かいしんのいちげきだった。身の危険も感じるくらい。』

私が好きな目は、隠れたままなのだが。

『…ところでそんなに私は臭うのだろうか』

「良い匂いがするよ。うん。」

『ﾋｪ』

本気で身の危険を感じ、少し身を動かした。