19話 ページ21
「未来の話だと?呪詛師にでもなるつもりか?」
意外と的を射っている。
『似た様なものかな。高専から出て行こうと思って』
これはかなり前から考えていたことだ。
あいつから逃げるために高専に来たが、あいつも着いて来てしまった。
私の敵が増えていくだけならば、高専に通い続ける理由が無い。
「ああ、妹から逃げるのか」
嘲笑うように話す宿儺は呪いとは思えない程艶やかだ。
私が今まで見てきた誰よりも強く賢く、そして魅力的だ。
所詮一目惚れだろう。
呪いに恋するなど、考えたことも無かったな。
『そうだ。それで私に着いて来ないか?』
「ふむ…お前は俺に何を差し出す?それ次第だな」
取引か、良いだろう。
思い人との人生旅行のために、何でも差し出してやるさ。
『先ずは具現化出来る身体を作ってあげるよ。私が何か頼んだら手伝っては欲しいが、それ以外は好きにしていて良い』
「どうやって俺の身体を作る気だ」
『構築術式だよ。さっきも見ただろ?あれの中に宿儺の呪力を入れれば、理論上は君が自由に動けるようになる』
「あくまで理論上の話か。出来なければどうするつもりだ」
『その時は私の身体をあげるよ。私の術式も使えるようになる訳だから、悪い話では無いだろう?』
たとえ失敗したとしても、一つの身体になれるのなら悪く無い。
「……良いだろう。その話に乗ってやる」
『良かった、なら取り掛かろう。筋書きはこうだ。私が特級君に苦戦していたことで、虎杖が宿儺を呼び出した。既に手負いの私では宿儺の足元にも及ばず、跡形も無く殺された』
「筋は通っているな。だが、この話は中にいる小僧も聞こえているぞ」
『問題無いよ。少し記憶を弄れば良いだけだ。少しだけ虎杖に代われるか?』
「ああ」
全身の刺青が消えていく。
代わりに虎杖の意識が浮上する。
「っおい神代!何考えてんだよ!」
『五月蝿いよ。放っておいてくれ』
頭部に触れ、術式を使って記憶を操作する。
これで筋書き通りの記憶になった筈だ。
「終わったか、随分と手慣れているな?」
『そうでもない。本当なら触れずにやりたいぐらいだ』
接近することで私には隙が出来るからな。
「まぁ良い。終わったなら始めるぞ。あの虫はお前が祓え。術式を使わずともそれくらい出来るだろう?」
体術のみか。
まあ貰った剣を使えばいけるだろう。
寮から剣を取り出す。
惚れた男のためだ。
期待に応えてやろうじゃないか。
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あ - 話進まなさすぎつまらない (3月18日 18時) (レス) id: 464afcc8c4 (このIDを非表示/違反報告)
ななしさん - 初コメなのに質問で申し訳ないのですが、15話で、「相手の術式を成立させないことも出来ます」とありますが、妹ちゃんの術式が成立しないようにすれば、周りの人が魅了されるのを防げたり、魅了を解除出来るのではないのですか? (2022年9月23日 19時) (レス) id: 5ca77bcde2 (このIDを非表示/違反報告)
reelay(プロフ) - ちづっきーさん» すー様は存在がもうイケメンですよね…設定は只々自分の好みをぶち込んだのですが、喜んでもらえて嬉しいです!応えられるよう、頑張りますね! (2022年8月21日 22時) (レス) @page44 id: 2f7f62128e (このIDを非表示/違反報告)
ちづっきー(プロフ) - 宿儺様がイケメンです。この話めっちゃ面白くて好きです。他の小説にはない設定最高です!!更新頑張ってください。 (2022年8月21日 21時) (レス) @page44 id: 5ebe7ae459 (このIDを非表示/違反報告)
reelay(プロフ) - Mimiさん» ありがとうございます!なるべく更新し続けられるように頑張りますね!すー様本当イケメンですよね… (2022年8月21日 16時) (レス) id: afe51dd90d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:reelay | 作成日時:2022年8月16日 13時