愛されキャラの妹がうざかったので呪いの王と呪詛師旅行してみた

15話 ページ17

『私の術式は呪力を支配するものです』


「支配？どういうことだ」


『その名の通りですよ。自分が知覚できる呪力を自分の思うままに支配できる。相手の術式を成立させないことも出来ますし、呪力を持った相手なら体内の呪力を固定して、一歩も動かせない事も出来ます』


「は？とんでもねえな。術式のコピーとか出来んのか」


『出来ますよ。流石に目を使いますが』


そう言って眼帯を取る。
呪力の無いこの人相手なら余計な物を視ることも無い。


「六眼とは違うな」


『全く違いますよ。私の目が視えるのは呪力に関することだけです。呪力の流れや呪力に残された記憶などが視えます』


私の術式上、六眼よりもこちらの方が使い勝手が良い。
あまりにも広大な情報を視ても取捨選択する時間が無駄だ。


「呪力の記憶ねぇ。覗きし放題じゃねえか」


仮にも女子生徒に向かって言うかこの人は。


『セクハラで訴えてぇ…』


「聞こえてんぞ」


『失礼しました。こんなものですかね、私の能力は』


「それで？お前は俺に何を求めるんだ？」


『別に何も求めませんよ。強いて言うなら、私の味方だと気付かれないようにして欲しい、ということでしょうか』


「どういうことだ？別に問題無いだろ」


『五条先生に消されますよ。既に一度負けているでしょう』


「……何で分かった」


これは想定外だったのか。
動揺しているのが見てとれる。


『胎の中に呪霊が居るでしょう。先程そいつの記憶が視えたんです。昔のようですが、かなり印象的だったのでしょうね』


あまりに薄い呪力で裸眼で視なければ分からなかった。
これは本当に相手にしたくないな。


本当なら記憶は数日間しか視えない。
だが、深く刻まれた記憶は何年も残り続ける。


「確かに俺は一度負けたな。お前が視た今の俺はもうあいつには勝てねえか？」


『呪具が揃った状態で有利な状況だったとしても、今のあの人には勝てないでしょうね。あの人に勝ちたいなら、術式も呪力も使えないようにしないと』


「お前が味方なら勝てるってことか」


『面倒なんでお断りしておきますよ』


あの人と敵対したら呪術界全部敵に回すだろう。
面倒事は避けたい。


『もう十分でしょう。早く呪具ください』


五条先生に敵視されているせいでこの三ヶ月間呪具無しだったんだ。
問題は全く無いが、折角なら使ってみたい。


「忘れて無かったのかよ。とりあえず部屋に来い」


そう言って貰ったのは日本刀。
文句無しに上物だ。

16話→←14話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す