愛されキャラの妹がうざかったので呪いの王と呪詛師旅行してみた

14話 ページ16

日陰に移動して座る。


「それで？あれは何だ？」


『主語が大き過ぎますね。何のことでしょう』


あえて惚けてみせる。
ペースを奪われたくは無いしな。


「神代妹だ。あいつの周りの奴らは洗脳でもされてるのか？」


洗脳か。確かにそうも見えるか。
自分を信じ込ませる洗脳。
ここまで見抜いたなら全て話してしまっても良いか。


『良いですよ。あいつの術式について話しましょう』


あいつの術式は呪力に磁力を持たせるもの。
自分をS極とすれば周囲の人間の呪力にN極の磁力を持たせる。
S極とN極は引き付け合うために、周囲の人間はあいつの近くに集まる。
引き付け合わされた人間からすればあいつがとても魅力的に見えるらしく、洗脳状態になる。
だからこそ、少し怪我を負わせただけでも敵対視される。


条件は二つ。
一つ目はあいつに向かって心配や同情、憐憫といった感情を向けていること。
二つ目はあいつとの距離が5メートル以内であること。


「ちょっと待て。術式なら五条は防げるだろ」


『あいつの術式はDNAレベルで磁力を持たせるんです。感情に最も影響を与える呪力の、ほんの一部に磁力を持たせる。自分の呪力の遺伝子型なんて五条先生にも分かりませんよ』


だからこそあいつの術式は厄介だ。
害があるのは私だけだが、掛かっている人間には自覚ができない。


「なるほどな。俺に掛からないのは呪力が無いからってことか」


『そうですね。初めてですよ、あいつに魅了されなかった人』


「あいつもだろ、虎杖。あれは何でだ？十分同情してるだろ」


『ああ。虎杖の呪力は虎杖のものでは無いんですよ。あれは両面宿儺のものです。宿儺が妹に同情する訳が無いんですよ』


直接視て分かった。
虎杖は只の器で、あくまで表面上の物だ。
蓋を開けてみれば、中には呪いの王が鎮座している。


「そーゆーことか。合点がいった。にしても大変だな、五条に敵視されてるだろお前」


『まあ良いですけどね。絶対に魅了されない人を見つけたので』


「俺か。ならもう少しお前の情報が欲しいがな。お前の術式は炎を操るものじゃないだろ」


気付いたのか。
上手く隠していたつもりだが。


『よく気付きましたね。五条先生にも気付かれなかったのに』


「あいつは目に頼り過ぎなんだよ。俺は五感全てで物事を視るからな」


『なら次は私の術式についてお話ししましょうか』


どうせなら全て話して味方に付けておくべきだろう。
この先何があるか分からないしな。

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