行く日 side:v ページ12
「モンハンでもします？」
「あ〜じゃあ配信つけようかな」
何食べた、だとかあのゲームやった？だとかそんな話をだらだらといつも通りあり鯖でする俺とありさか。
そろそろ配信をつけるか、と思った時俺のスマホが鳴った。
Aからだった。ありちゃんに一言「電話」と伝えてディスコードをミュートにした。
「…はい、」
「A？」
話し出さないAを不審に思い、名前を呼ぶ。外だろうか？車の音や人の話声がかすかに聞こえる。
〈ばにら、〉
明らかに泣いている声だった。
「…今どこ？すぐ行くから」
俺がそう言うと涙を抑えるのをやめて泣きながら今自分がいるところを教えてくれた。
心臓が痛い。久しぶりに聞く彼女の涙交じりの声。
Aとの通話を終え、すぐにありちゃんに今日は配信出来ない、と伝える。
「どした？なんかあった？」
「Aが、泣いて電話してきて」
「Aちゃんのとこすぐに行ってあげて」
彼はいつもの落ち着いた声ではない、少しピリついた声で急かすようにそう言った。
------------
彼女の元へ向かえば、小さな身体を更に小さくさせて蹲っていた。
「A！大丈夫？」
謝る彼女の背中を、撫でるように優しく叩く。
彼女が話し出すまでいつまでだって待つつもりだ。
ようやく顔を上げて少しだけ笑うA。
笑う彼女の顔を見れば、唇の端が切れているようだった。
痛々しいそれにそっと触れると、さっきあったであろう出来事を話し始めた。
Aの切れた唇を見てから、俺の中で苛立ちが少しずつ沸き出していたようだった。
彼女の話を自分の爪が刺さるくらい掌を握り締めながら聞いた。
『私、ばになら来てくれると思ったの。ばにの優しさに甘えたの、』
Aのその言葉が、俺の心臓を抉り取る。
考えるより先に、言葉よりも先に、彼女の手を引いて自分の腕の中へ収めた。
「期待させるような事言わないで」
これ以上は。
一番に俺に連絡をくれたのも、俺に助けを求めてくれたのも、全部期待してしまうから。
『ごめんね、ばにら』
「……なんでそこで謝るん」
こうやって逃げる卑怯なAを、離したくないとさえ今は思う。
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黒灰白有無％(プロフ) - 1から拝読させて頂きました！！色々な意味で本当にどきどきさせられますし、展開も面白くとても楽しみで時間があっという間でした.素敵な作品を有難う御座います気が向いた時更新して頂けたら幸いです！無理せず自身のペースで頑張って下さい是からも応援しております！ (11月9日 0時) (
レス) @page33 id: 1ab55170b6 (このIDを非表示/違反報告)
もも - 素敵すぎる作品です。完結を心より楽しみにしています…！ (7月18日 4時) (レス) id: 46bcba6e95 (このIDを非表示/違反報告)
こむぎこ(プロフ) - 9日さん» 9日様〜！今年も宜しくお願いします💓9日様のそのお言葉のおかげで2023年も頑張れそうです🥹🫶いつも本当にありがとうございます！ (2023年1月30日 14時) (レス) id: 88751783dd (このIDを非表示/違反報告)
9日 - 更新久々だー！やっぱこむぎこさんの書く小説が1番好きです笑。これからも無理ない程度に更新していただけると幸いです💞 (2023年1月29日 0時) (レス) @page30 id: 5d21b82b77 (このIDを非表示/違反報告)
こむぎこ(プロフ) - 9日さん» 9日様〜！！亀更新ですみません😭！いつもありがとうございます（ ; ; ）！！これからも頑張ります💓 (2022年12月4日 0時) (レス) id: 88751783dd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こむぎこ | 作成日時：2022年7月25日 17時
