第1話『水分不足』 ページ2
«縁下side»
「あっっつい...!」
まだ5月だろ...
昨日の涼しげな気候とは一変して、今日は異常な程に日が照っている。
突然の気温変化ともあって、空調をはじめとした暑さ対策は行われていない。
そんな放課後の体育館で今日も必死こいてレシーブ、レシーブ、そしてまたレシーブ、、、
休憩時間、外の風に当たろう。
と、外に出たはいいが、驚く程に無風で。なんかフラフラしてきたぞ...暑さ対策が取れていなかったのはむしろ俺の方か、なーんて思いながらしゃがみ込むと不意に意識が遠のいた。
身体が水を欲してるのは分かるが、生憎今立ち上がる気力はない。
あのメンツの中で俺が迷惑かける訳にはいかないんだけどなぁ。そろそろやばいかも、
『━━━━━したくん...?縁下くん...!?』
遠のいてゆく意識を呼び止めるかのように声がした。聞いたことある声。女子...?
まともな返事が出来ずにいると、その子はたいそう焦った様子になる。
「ど、どうしよう...あっコレ!」
彼女は持っていた鞄を漁って1本のペットボトルを取り出し、必死の形相で蓋を開けてはズズイと俺の顔の前に差し出した。
「飲める?あっ、まだ口はつけてないから安心して...!」
かろうじて受け取れた俺は、ものすごい勢いで飲み干した。まるで本能的に欲していたかのように。て言うかコレ、美味いな。
だいぶ呼吸も落ち着いて、もう大丈夫だと伝えるとその子は小走りで校門の方へ走っていった。
そう言えば、あの子の名前って、、、
47人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:メチルオレンジ | 作成日時:2020年5月26日 12時