鈴の音 Part2

34話 涙 ページ11

貴「治ー。そろそろ部屋行こかー」

治「おん」


アイスを食べ終わり寝る支度をした


貴「同じ部屋なんは堪忍な。」

治「俺はかまへんよ」


うちはいつも通りベットに

治は布団に入る


貴「んじゃ電気消すで。おやすみー」

治「おやすみー」


パチンと明かりを消して布団をかぶる

...宮くんと初瀬さんの事が頭から離れんかった

宮くんは、うちと同じように初瀬さんを抱いとんのやろか

あの、優しい手で

包み込むように

あの声で初瀬さんの名前を呼んで...


...なんでうちこんな事考えてっ！？

うちにはもう関係ないやろ！バカっ！

はよ寝な...寝て忘れな

...なんでこんなに胸がモヤモヤするんや？


治「...A、まだ起きとる？」


突然治が口を開いた


貴「...起きとるよ？寝られんの？」

治「...そーみたい」


もそっと治が身体を起こした

うちも同じように身体を起こす


貴「...初瀬さんと宮くんのこと？」

治「...ダメやなぁ...一人なると考えてしもて...おかしくなるわ。...っ...限界っちゅーことなんかな？」


治の目からポロポロと落ちていく涙

暗い部屋でも治の顔は見える

...治にも、限界があるんやな

なぜかその姿が自分と重なった


貴「.....泣きぃ。治。今、全部涙出したらええ。うちしかおらん。楽になるで」


濡れた治の頬に手を伸ばす

止まりそうもない涙を拭ってやる


貴「...辛いなぁ。苦しいなぁ。切ないよなぁ。今までよぉ耐えたねぇ。すごいで。治。...今日は胸貸したるわ」


そう言った瞬間やった

治に手を引っ張られ抱きしめられた

うちがしてあげれることは、めいっぱい甘やかしてあげることだけ

うちは治を抱き返して、小さい子供をあやす様に撫で続けた

治はうちの胸で静かに泣いとった


治「...っ...A...俺と付き合うて...」


絞り出した治の言葉の意味は

きっと、初瀬さんを忘れて

前に進む事を決めたってことやと

うちは思う

やから


貴「.....ええよ。」


うちはそう言葉を紡いだ

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