塩顔イケメンも見慣れる。 ページ25
.
なんだこの地獄は。なんでこの2人にはよく出会うんだ?運命の糸でも繋がってるのか?そうだったら早急に鋏でばっさり切り取りたいわ。クソかよ。
「朱川さんはお酒に強いんですね、普通ルシアンを飲んだ女性は直ぐに酔ってしまうのですが。」
「そうですね。」
なんだお前、何人もの女性にお酒を勧めたような口ぶりですね。探偵業でも裏の顔でもハニトラならぬロミトラをしてるんですかね。ナチュラルに私の横で笑顔を振りまかないでください。
「安室さんはどうして此処に?安室さんのような方が来られる場所ではないと思いますが。」
「探偵業の方で同伴して欲しいと依頼されまして。」
「へぇ、そうなんですね〜」
嘘つけ。このパーティーに公安の方で追っているターゲットがいるからでしょうに。
にこりと笑みを貼り付けて、グラスの最後の一口を飲み干した。近くにいたボーイがグラスを回収してくれるようなので、お盆にグラスをのせる。見覚えのある顎髭が妙に引っ掛かったボーイだった。
「それにしても、安室さんスーツ似合いますね!かっこいいです!」
「ありがとうございます。園子さんのような可愛らしい女性に褒められると嬉しいですね。」
「そんなぁ、安室さんったら!」
きゃいきゃいする鈴木さん。
童顔アラサーは容姿がすこぶるいいため、何を着ても似合う。ドレスコードに合わせたスーツは彼の容姿を引き立たせている。暗躍主な仕事なのに、そこまで目立っていいものなのか…
と、そこに袈裟姿の夏油先輩が近づいてきた。
「はじめまして、鈴木財閥ご令嬢の鈴木園子さんでお間違えないでしょうか。」
にこり、と効果音がつきそうだった。こんな胡散臭い笑顔を向けられて、金をホイホイ出そうと思う輩が本当に存在するのか。私が苦い顔をした。
「はい!夏油様のご活躍は次郎吉おじ様から聞いております!相談すればなんでも解決するのだとかで。」
「えぇ、ですので、救いを求めておられるのなら是非とも私共の教に。」
喜んで!という園子さんが心配でしかならない。幼気な女子高生相手にあんな胡散臭い格好で話しかけるのは通報案件だ。
正直、汚い金を使う金持ちならば是非とも夏油先輩に金を落としてもらいたいものだが、純粋にちゃんとした金持ちが夏油先輩の教に入るのはなんだか止めに入りたくなる。
挨拶を終えて去っていった夏油先輩。鈴木さんが「塩顔イケメンもありかも!」と言っていて頭を抱えそうになったのは事実だ。
3541人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ななを | 作成日時:2022年6月7日 21時