四十一話* ページ42
「そう、それが敗北だ」
変わりない敗北という現実。
遥か向こう側にある世界を見せつけられて尚、ゾロの眼に宿る闘志は消えない。
「ならなおさら退けねぇな…」
「死んでもか」
「死んだほうがましだ！」
その一言によりミホークが小刀を抜く。
…クソ、…手助けしたい…！
「小僧…名乗ってみよ」
「ロロノア・ゾロ…！」
ゾロが名乗り、『三千世界』の構えをとる。
それに対しミホークは、小刀をしまい、身の丈ほどもある太刀をとりだす。
「覚えておく。久しく見る強き者よ。そして、剣士たる礼儀を持って世界最強のこの黒刀で沈めてやる」
「そりゃあありがてぇ…」
ざわざわ・・・
ミホークが黒刀を手にしたことでギャラリーがざわつく。
こんな殺し合い、中々見れたものじゃない。興奮するのは当然だね。
「アニキィ！！もういい止めてくれぇ！！」
「ゾロ…！」
さて、これで決着がつく…。今のゾロは一応だけれど『呼吸』を覚えてる！さてどうなる？！
「散れ！！」「三・千・世・界！！」
互いに技を出し合い交差する。
「ぐうっ…！」
バラバラァッ…
やはりゾロの大敗。なすすべもなく、最強を前に剣を二本失う。
そして『和道一文字』を鞘に収め、振り返る。
「何を」
「背中の傷は…剣士の恥だ…！」
血が噴き出す中、フラフラとせず、ピンと直立したまま、潔く己の死を選ぶゾロ。
「見事！！」
ズバァッ！！
「ゾロォォオオオ―――――！！！」
「「アニキーッ！！」」
その場に、ゾロの血飛沫とルフィ君たちの悲痛な声が飛び交う。
私は今初めて、時間がゆっくりに感じるという感覚をここまで『はっきり』と感じ取った。
流石に…、今の私にとってはコレはいささか…キツいね…。
一般人にとっては少々過激すぎる…。
「うおああーっ！！」
ルフィ君がミホーク向けて突っ込む。私も浮遊しながらその後を追う。
「若き剣士の仲間か…貴様らもまた、よく見届けた」
ルフィ君の突撃をよけたミホークがこちらを見て言う。
「安心しろ。あの男はまだ生かしてある」
その一言に反応しルフィ君と私は海のほうを見る。
ウソップ君たちがゾロを船に乗せ、応急処置をしているところだな。よかった
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作者名：シーデン | 作成日時：2017年1月17日 21時
