新しい春に浮かれて �� ページ5
元は一人で行こうとしていたからまさか松川と行く事になるなんて思ってなくて、写真で見た夜桜はなんだかとても松川に似合う気がする。
…私の中での両方のイメージが妖美だからだろうか。彼が厭らしさと儚さを兼ね備えているからなのか、なんなのか。
布団に入ってアラームをセットしている時、ヴヴッと携帯が振動した。それはメッセージの通知だったようで、通知からメッセージの送り主を見れば、送り主は松川だった。
画面をスライドして彼とのトークを開く。
一度も個人的なラインをしたことがない私達。
追加はしてはいたけれど、ラインをするのは実際初めて。
『お疲れ。明後日、17時に迎え行くから』
淡々とした言葉、彼らしいと思いながら『お疲れ様。わかった、待ってるね』と打ち、送信ボタンを押して今度こそ目を閉じた。
＊
2日後というのは案外短く感じるもので、あっという間に約束の日が来ていた。
特にサークル等に所属していない私は午前で講義が終わったので家でお昼を食べてのんびり準備を進めている。
いつもはつけない赤いリップをつけて、髪の毛も緩く巻いて、ただ、花見をしに行くだけだというのに無駄な気合いが入っている。
それに気づいたのはコートをきて鏡に映る自分を見てからの事で、これじゃあまるで好きな人にでも会う時みたいじゃないか、と思ったが時間が既に16時半という事で今からやり直しなんてことは面倒。
バイトですらナチュラルなメイクを心がけていたし、メイクが面倒な時は伊達眼鏡をして誤魔化している私がこんなきっちりとメイクをしたところをよりによって松川に見られるのは恥ずかしい、というよりもまるで彼に気があるかのような…。
そういうに考えてるのは私だけなのだろうが恥ずかしい事には変わりないのだ。
どうか私の気持ちを察してほしい。
ヴヴ…と鈍いバイブの振動が膝の上に置いていた携帯から身体に伝わって突然の事にびくりと身体を揺らす。
視線を下に向けてディスプレイには松川からの着信。おそらく家に着いたのだろう、鞄を手にとって画面をスライドさせて応答し、耳に当てる。
「はーい」
『着いたよ』
「今行くね」
電話を切ってカバンを手に持ち玄関で靴を履いて、外に出る前に鏡を見て、おかしいところはないか、と気にして前髪を無駄に触るが、ハッと我に返る。
これでは本当にデート前の楽しみにしている彼女みたいではないか。
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お湯(プロフ) - なつみかんさん» こちらこそ、最後まで読んでくださってありがとうございました！ (2019年7月14日 22時) (
レス) id: 153a733831 (このIDを非表示/違反報告)
なつみかん - 最高によかったです!まっつん良い..(^∀^)読ませていただきありがとうございました!! (2019年6月27日 20時) (レス) id: 62df2025c4 (このIDを非表示/違反報告)
お湯(プロフ) - まぶたさん» ありがとうございます！こちらこそ、最後まで読んでくださり、ありがとうございました。 (2019年5月23日 21時) (レス) id: 153a733831 (このIDを非表示/違反報告)
まぶた(プロフ) - 尊いです(;_;)これからも応援しています！素敵な作品ありがとうございました！ (2019年5月23日 18時) (レス) id: 4fd23ee764 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お湯 | 作成日時：2019年5月1日 16時
