ダメ女と女子力男子【灰】

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《嘘でしょ？家の鍵忘れたの？！東京に？！？！》



じらいちゃんの驚いた声に『そうだよ』と呟くように返す。さすがに近所迷惑だから出来るだけで小声で会話しないとな。





《危なくない？満喫とかないの？》

『あるんだけど、タクシーが捕まらん』




心配してくれるしるこさん。





『大丈夫だよ、結構一通りの多いところに住んでるし』

《そう言う問題なのかなぁ。あ！ていうかさ！かるてっちーと家近いんじゃなかったっけ？！》

『あぁ、そういえば』



…そうだったね。しるこさん以外はみんな愛知在中で、その中でもかるてっとさんとは車で5分くらいの場所に住んでることが少し前に分かった。




《どっか泊まれるところまで送ろうか？》



さらっとそんなことをいうかるてっとさんに『え』と声が漏れる。


私たちはスマホ越しの関係で、もちろん会ったことがない。顔も何も知らない。




『悪いし、いいよ』



なんか会うの恥ずいし。




《さすがに外で野宿とか言ってるやつ放っておけないだろ》



かるてっとさんの優しい笑い声がスマホから聞こえてくる。



優しいなこの人ほんとに。いやここにいる人たちみんな優しいんだけど。




《よかったねAちゃん！あ、でもかるてっとさん引っ越したって言ってなかった？》




じらいちゃんがそう聞くと「したけど、前の家と場所あんまり変わんないから」と答えるかるてっとさん。




みんなの言葉と一緒に雑音が入ってくる。





『ねぇ、誰か外いる？』

《あーおれおれ。さっき仕事終わって今家向かって帰ってんの。》



かるてっとさんも仕事だったのか。なら迎えにきてもらうの申し訳ないなぁ。



最近忙しいって言ってたし。




『かるてっとさん本当に大丈夫だよ。さっき会社の人にメールしたら明日持ってきてくれるって言ってたし』

《明日だろ？今日はどうすんのって》

『たまには外で過ごすのもありかなって』

《こんなクソ寒い日に外はやばいって》

『平気平気。着込んでるから』

《…さすがに女の子が外で１日過ごすの危ないだろ》




…大丈夫だと思うんだけどなあ。



近所付き合いもそれなりにしてるし。なんかあれば大きい声出すし、誰か助けてくれるでしょ。





《今のセリフかっこよかったね？》




じらいちゃんの楽しそうな声が聞こえてくる。



確かに、久しぶりに女の子なんて言われた気がする。

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