何でも屋BinTRoLL-2-

復帰 ページ39

みんなに全てを打ち明けたあの日から月日が経ち、



私、じらいちゃん、かるてっとさんの怪我も完治した。そして今日が仕事復帰の日。



なんだけど、




『ねぇ、やっぱり無理があるって……』




楽しそうに歩く二人の背中を見つめながら呟く。




じ「大丈夫大丈夫！ちゃんと見えるよ！男子高校生に！」

『全然嬉しくないんだけど………ていうか何で男子高校生なの？私女なんだけど？JKでいいじゃん』



ガラス張りのお店に、今の私の姿が反射して見える。



黒のベリーショートのウィッグを被り、男子のブレザーの制服に身を纏う自分の姿は滑稽でしかない。




か「でもこの年になってコスプレするとは思ってなかったよな」

『かるてっとさんはめっちゃ似合ってるよ』

か「まじ？」



私たち3人は決して遊んでるわけじゃない。一応仕事なのこれ。




《妻の浮気現場をおさえて欲しい》



つまりは浮気調査だ。浮気相手は同じ職場の教師らしく、なんでも奥さんと浮気相手は校内でひっそりと愛を育んでいるらしい。



依頼主から結構な額のお金を貰ったから受けたものの、まさか自分が男装して高校へ潜入することになるとは思ってなかった。




一番納得できないのはやっぱり、なぜ男子高校生に変装させられたのかというところだ。

今から潜入する学校は共学なのに、意味わからなくない？



なんて、心の中で愚痴を言ってる間にーー



『………ついちゃったし』

じ「まぁまぁ。早く浮気現場の写真撮っちゃえば終わるし」

『そうだね………腹括るわ、』

か「んじゃ、行くぞ」




私たちは学校の裏庭がある場所のフェンスを飛び越え、学校の敷地に潜入した。




か「うわー、楽しくなってきた」



久しぶりの仕事だからか、コスプレをしてるからかは分からないけど何故かテンションが上がってるかるてっとさんの後ろをじらいちゃんとついていく。




すると、ほんの数秒後。


か「止まって。」


かるてっとさんは立ち止まって、大きな柱から少し顔を出したまま私たちに向かって手を出した。



『どしたの？』


私も、チラリと柱から顔を出して覗いた。



『うわ、』



そこには熱いキスをする男女二人の姿が。



私はすぐにスマホを取り出し、写真を撮った。




ーーーーカシャ、



じ「ちょ！」

か「ばか！！」

『やば、』



辺りに、シャッター音が盛大に響いた。


無音カメラ使うの忘れてた…。

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