ひとり ページ2
カタカタカタカタカタ
静かな部屋にキーボードの叩く音が響き渡る。
暗い部屋の中で唯一、パソコンの画面だけが光を灯していた。
私はあの日を境に、BinTRoLLを抜けた。
今はホテルを転々としながら直接、ボスから仕事を受けて生活している。
スマホもパソコンも全て買い替え、BinTRoLLにいた頃とは違う名前を名乗り。私の存在を全て消した。
これくらいはしないとBinTRoLLにはいちはちさんがいるから、見つかってしまう。
やれるだけの仕事をこなしながら、私は今でもあの男を追い続けている。だけど現段階で奴らのことは何も分かっていない。グループの名前すらも。
分かるのは組織のトップの顔だけ。
この3年間、1日たりともあいつ顔も、この怒りも忘れたことはない。
憎くて憎くて、仕方ない。少し奴らのことを考えただけで怒りで頭が可笑しくなりそうだ。
だけど頭に血が上った状態で、欲しい情報は得られない。奴らはそんなに甘い連中じゃない。
自分の感情くらいコントロールできないと、この先やっていけないぞ。……と、自分を落ち着かせるために深呼吸を一つ。
その時、テーブルに置いてあったスマホが揺れた。
見ると、加藤くんからメッセージが届いていた。
《遅くに申し訳ありません。ボスがお呼びなので、明日の朝からこちらへ来ていただけますか?お迎えが必要なら連絡ください》
それに素早く《了解。自分で行ける》と返して、またパソコンへと視線を戻した。
***
朝起きてすぐに私はボスのいる屋敷に向かった。
門の前で既に加藤くんが待ってくれていて、
『おはよう』
加藤「おはようございます。ボスならいつもの部屋にいます」
『出迎えはいらないって言ってるのに』
私がそう言うと「お嬢様を出迎えするのは当たり前ですよ」と微笑んだ。
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おゆき(プロフ) - meさん» ただいまです!お待たせしてしまってすいませんでした。ありがとうございます!また少しずつ更新していくので、見ていただけると嬉しいです! (2021年5月18日 18時) (レス) id: 1843c20691 (このIDを非表示/違反報告)
me(プロフ) - おかえりなさい。また公開してもらえて本当に嬉しいです。無理だけはしないでくださいね! (2021年5月18日 12時) (レス) id: 47178bfabc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おゆき | 作成日時:2020年11月13日 14時