説話・後 ページ30
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「 これで”白い結婚 ”も終了だな 」
「 やっと真のご夫婦に・・・ 」
謙太郎の口づけでことりが失神したのを知らないお付の二人
やれやれと胸を撫で下ろしています
「 俺は『 嫌がるなら連れ帰れ 』って命令されてた 」
「 それでイロイロ邪魔してたのか? 」
「 癒し姫が嘆くことをしないのが一族の掟だ 」
「 イヤシヒメ? 」
大顔面に理解不能の表情を貼りつける辰哉
「 お前、知らないのか? 時の権力者が欲しがる癒し姫の話 」
「 シラナイ 」
辰哉の脳には疑問符が大行列で行進しています
「 遥か、遥か、太古の昔・・・ 」
照の口から紡ぎだされる不思議な伝説を、辰哉は真剣な面持ちで聞き入りました
「 その子孫が俺達だ 」
「 オレタチ? 」
「 俺はことりの叔父だ。 ことりの父親は俺の一番上の兄貴 」
「 なら、おまえ一族直系なんだろ? なんで従者の真似事をするんだ? 」
「 他人が従者になると、癒し姫を奪う危険性があるだろ? 」
孤独な権力者を癒し、幸福と繁栄をもたらす奇跡の姫
一般のセレブとは違う理由で誘拐される可能性が高くなるのです
「 だから産まれたことも非公開だし、秘密裡に育てられる 」
ことりのやんごとない無知はそのせいでした
「 それに俺達の一族、めちゃくちゃ男系なんだ
女なんて100年に一度産まれりゃいいほうらしい 」
ことりの前の癒し姫は明治生まれだったとか・・・
岩本一族の家系譜に刻まれた女性はごく僅かです
「 そんな貴重な姫君が、なぜ謙太郎様と結婚した? 」
「 大旦那様、っていうか親父の卜(ぼく) 」
「 へっ? 卜ってうらない? 」
「 数ある候補者の中で一番孤独な相を持ってた 」
実の母と引き離され、幼い頃から帝王教育を受けてきた謙太郎
肉親の愛を知らずに成長した心はどれだけ飢えていたのでしょう?
「 俺、本家に帰る 」
「 えっ? ことり様のお世話は? 」
「 ことりが一番信頼しているのは謙太郎様だ。 俺はもういらない 」
あの森の中で、照と謙太郎が差し伸べた手
ことりは躊躇うことなく謙太郎の手を選んでいました
「 16年間一緒だったから寂しいけどな 」
言ってすぐ照は天井を向きました
辰哉から顔を隠すように・・・
「 酒持ってくる 」
言ってすぐ辰哉は部屋を出ました
照を一人にするために・・・
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姫保(プロフ) - 優希さん» コメントありがとうございます。これからもキュンキュンなお話を書いていきたいと思います。 (2015年12月4日 19時) (レス) id: 29b0e5addf (このIDを非表示/違反報告)
優希 - 第1シリーズ完結お疲れ様です!めっちゃキュンキュンして2人が可愛かったです! (2015年12月4日 11時) (レス) id: 0f9364f020 (このIDを非表示/違反報告)
姫保(プロフ) - m1m0wmさん» ありがとうございます。もう感謝の気持ちと言葉しかありません!何回も繰り返し読んでいただけて、私もおやゆび王子達も幸せいっぱいです。 (2015年8月6日 23時) (レス) id: 000b5a5ba0 (このIDを非表示/違反報告)
m1m0wm(プロフ) - 読ませていただきました!想像したときの2人が可愛すぎて癒されました。このお話ダイスキすぎて何回も繰り返し読ませてもらってます (2015年8月6日 20時) (レス) id: 2659e69228 (このIDを非表示/違反報告)
姫保(プロフ) - NONAMEさん» うふふ・・・疲れがとびました。コメントありがとうございます(*´▽`*) (2015年6月3日 1時) (レス) id: 000b5a5ba0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:姫保 | 作成日時:2015年4月12日 22時