おやゆびひめの日々 3

海の向こうからこんにちは　6/7 ページ29

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朝食から戻って、部屋でドームに行く準備をしている最中、ふいに鳴る着信音。
こんな時間に電話……？選手からなら仕事用だし、プライベートの方がこんな時間に……？

奇妙に思いつつ、スマホを手に取れば、アメリカにいるユニコーンくんからの着信だった。

「……うげ」

出来れば無視したい。ごめん気が付かなかったや、で後から返信して許されたい。
けど、後から「なんで出なかったんですか！」と言わんばかりのスタ爆とか来そうで、それはそれで嫌だ。

そんなわけで、1つため息をついてから、着信ボタンをスライドした。

「……はい、もしもし」
C27『あ、Aさぁん！？元気ですかぁ！？』
「たった今元気じゃなくなった……」

よく小さい子が大きな音を聞いて「鼓膜が破れちゃうでしょ！」なんて言うけど、まさしくそんな気分。
いくらクソガキくんと言えども、開口一番の大声はないだろうと思ったら、別のクソガキからの大声だった。

なんで翔平くんからの電話なのに、第一声が誠也なわけ？おかしいでしょ。確かに君たち今日、試合だろうけど。

C27『翔平！Aさん元気じゃないって』
A17『え〜、せっかく俺らが連絡してんのに？』
「君たちから連絡が来たから元気じゃないんだけど」

さっき元気じゃなくなった、って言ったでしょ。ちっとも人の話聞かないな、この子たち。

「こっち何時か分かってる？」
A17『10時前』
「そう、試合日のね。今からドーム行かなきゃいけないわけ」

そこまで分かってるなら電話してくるなって話。どうせ話してて盛り上がって、謎のテンションでかけてきたんだろうけど。

A17『でもどうせAさん朝早いし、出発はまだでしょ？』
「そ〜れはそうなんだけど。う〜ん、常識的に？まさか他の人にもこんなゲリラみたいに電話してないでしょうね」
A17『しませんよ』
C27『Aさんに、だ・けっ♡』
「『きしょ』」

あ、最悪、被った。電話越しの翔平くんは何が面白いのか、ケラケラ笑ってるけど。なんだっけ、ハイエナだっけ、似てるの。ハイエナの鳴き声とか聞いた事ないけど。

「君たち、アップは？大丈夫なの？」
A17『もうすぐ国歌斉唱です』
「いや、早く並びなよ」
A17『え〜もうちょっと』

君はめんどくさい彼女か。そのセリフ、夜の寝落ち通話がだるくなって切りたい彼氏を引き止める彼女しか言わないでしょ。


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あと1話！(たぶん)

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