219話 ページ50
《…幹部全体連絡。大至急総統室へ集合。遅刻は絶対に認めない》
いつも通りの夕方、いつも通りの自由時間を過ごしていた幹部達の耳に入ったのは、いつになく硬いグルッペンの声だった。
「…おい、これなんかヤバないか？」
「な。…なんかあったんかな」
何やら切羽詰まったようなその声に、いつもは集合時間を軽んじている幹部さえもが内ゲバをやめ、一斉に総統室へ向かう。
その中で、一緒に行動していたシャオロンとコネシマが一足早く総統室へ着いた。
「…あれ？アイツが早いの珍しない？」
だが、先客が居たようだ。
シャオロンのその声で振り返って、彼女はむっと眉を顰めた。
『そっちこそ、いっつも遅刻しとるやろが！？』
特にコネシマ！と指差すAは、総統のあの声と違っていつも通りに聞こえて。
コネシマは、なんとなく感じていた漠然とした不安が少し晴れたような気がした。
「あれ、もう3人来とるんか」
またいかにも意外そうに声を上げたのはトントンとオスマン。
2人はあまり遅刻することがない。
「てか、ほんま今のなんなんやろなぁ。普通に集合なら会議室でええやろうに」
「うわロボロ居ったん！？ほんまにちっちゃくて気づかんかった」
「今来たばっかりやアホ！！」
段々とメンバーは揃っていき、数分後にはとても珍しいことに全員が集まっていた。
特に大先生がロボロの次に来たのには驚きだった。
『はえ〜……やればできるんやな』
「あ〜僕ホントは有能なんで」
「はいはい」
軽口もそこそこに、全員集まった状態で総統室へ入る。
広いその部屋の奥に構えられた机に、総統は座っていた。
どこか眼光が鋭いグルッペンを、オスマンが推し量るようにじっと見る。
「…で？何の用なん？」
あんだけ急かしといて、流石にケーキ買ってこいとかは無いやろ？とトントンが問うと、グルッペンはふざけるでもなく目を伏せた。
その仕草は、明らかに尋常じゃない事態が起こっているのだと幹部に知らしめるのには十分だ。
しん、と水を打ったような静寂に、いつもにも増して低い声が響く。
「……これから話すことを、落ち着いて聞いてくれ。絶対に取り乱すな。」
どくん、どくんと心臓が鳴る。
茶番を入れたり、茶化したりするような余裕は、全員無かった。
ごくりと誰かが喉を鳴らした。
「………この中に」
薄い唇が動く。
「この中に、裏切り者がいる」
は、と誰かが声を漏らした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 104人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
774号（現在稼働中）(プロフ) - レモンライムさん» 閲覧、コメントありがとうございます！こんな長い内容読んでくださって嬉しいです……！夢主のことも可愛いと言ってくださりありがとうございます！励みになります！！ (2022年12月17日 7時) (
レス) id: a4d1e34ed0 (このIDを非表示/違反報告)
レモンライム(プロフ) - 題名に惹かれここまで読みました！夢主ちゃん可愛いよ〜〜！応援してます。更新少しずつ頑張ってください！！楽しみに待ってます (2022年12月16日 18時) (レス) @page30 id: 5624762f60 (このIDを非表示/違反報告)
774号（現在稼働中）(プロフ) - 葉山みなみさん» あったりめぇよ！！私も好き！！！ (2022年12月9日 23時) (レス) id: a4d1e34ed0 (このIDを非表示/違反報告)
葉山みなみ(プロフ) - 宣伝！！感謝！！ありがとう！！好き！！ (2022年12月9日 23時) (レス) @page29 id: 299310e310 (このIDを非表示/違反報告)
774号（現在稼働中）(プロフ) - 虹色のしっぽが付いた雪だるまのジャス民は我々だ！さん» 了解致しました、復活させます！最近少し忙しいので、掲載するのが遅くなってしまったら申し訳ございません。 (2022年11月5日 21時) (レス) id: a4d1e34ed0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：774号（現在稼働中） | 作者ホームページ：ざわ……ざわ………
作成日時：2022年9月5日 3時
