自慢 （過去編森田side） ページ19
森田side
南川さんに殴ってもらえたことでようやく少し落ち着くことが出来た
殴ってもらえんかったらきっと俺はAのマネージャーを殴り飛ばしとった
放心状態になりつつも俺は目の前のAがいる会議室前に立っていた
南川さんが言ってくれたおかげか周りには誰も人がおらんくてAを落ち着かせるためには
絶好のチャンスだった
俺にとって月城Aという人間は今まで会うた女の中で一番って言えるぐらいの何かを持っていた
この気持ちの正体に関してなんとなく察しはついていたがそれはまだ表に出して
いい感情ではなかったってのもあるしAは芸人になる覚悟が俺たち同期の中で合った
ネタ見せの時だって誰よりも尖っていたにもかかわらず面白かったときは皆驚いたし俺も驚いた
授業とかでコントを即席で作ることがあった時も人気があったがAは迷わず俺のところにきて
「森田さん、一緒にやりましょう」
その真っすぐした目に見つめられると恥ずかしくなってまうけどAのためにおもろいネタ
考えなアカンなっていつもワクワクしながら作っていた
交代交代でネタを作っていてAの作るネタは俺らじゃ考えつかへんシチュエーションが多いから
刺激をもらう事がある
先輩の南川さんと飲みに行った時も
南「森田んとこの期で月城Aっておるやろ」
森「おりますけど何でですか？」
南「いやな、俺の同期や先輩たちからもアイツのネタおもろいねんって噂になっとってな
女やのにすごいな〜ってな」
森「そりゃもう！Aは俺の自慢っすから」
南「何やねんお前！まるで彼女みたいに言いよって」
森「彼女とはちゃいますよーだってあいつまだ16っすよ！俺がパクられますよ」
南「でも森田アイツとばっかと遊んでるやん、はたから見たらお前ら出来てんのかと思ったわ」
森「たとえ、俺がAに惚れていたとしてもAの気持ちは知りませんから」
南「せやったら守ってやらんとな」
森「えっ？どういう意味ですか」
南「これから先どうなるか分からへん、どんなにネタが面白くったって設定が秀逸だったとしても
絶対に芸人になれるとは限らへんホンマに神様のいたずらで全く違う道に行く人だっておる
女優やタレントになる人やっておるわけやからな」
その言葉を聞いて俺は決めたことがあった
Aと一緒に芸人になりたい、そのためには俺も覚悟を決めなあかんし強くならなあかんと思った
俺は会議室のドアをノックした
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作者名：リンさん | 作成日時：2022年2月28日 22時
